2014-01-01から1年間の記事一覧

かじ取り

アベさんの強みはマジなことだ。本気で良かれと思っている。悲願ではなく指名、改憲しなくてはこの国はダメだと、まったく迷いがない。そのために勝つ選挙を、問題点そらしを、うまい広告を打つが、本人はズルをしているとは思ってない。この国を良くしなく…

生きる手段

『幸せのありか』(ポーランド、マチェイ・ピェプシツァ)の青年は、実在した脳性麻痺の男がモデルだ。 言葉を話せない。体も満足に動かせない。理解力や意志力があるにもかかわらず、内面を伝えるすべがなく、20年余りの間、他者から認めてもらえなかった。…

結婚の内実

浮気した夫に復讐するため、偽装工作もいとわない妻。 『ゴーン・ガール』(米国、デビッド・フィンチャー)では、失踪した妻を殺した疑いで、夫がメディアや警察に追及される。 はたして、妻は戻ってくるのか。それとも、計画どおりに自死するのか。 事はそ…

青春の現役

どこまでがドラマか。『超能力研究部の3人』(日本)は、SF映画に臨むアイドル女子の疑似メイキングフィルム。先の読めない展開こそ、まさに青春だ。 監督の山下敦弘も、企画の秋元康も、手慣れた手法をあえて外した。冒険に挑むことで、自身の青春の現役…

心の声

チェルフィッチュ『スーパープレミアムミソフトWバニラリッチ』(神奈川芸術劇場)は、コンビニ店員のすったもんだが、コント調に活写される。単なる笑劇ではない。システムの功罪と個人の呪縛と自由が巧妙に演出され、長いタイトルのアイス名も、アイデン…

地点

もし本当にぼくの書いたのが普遍性に届いているのだとしたら、それはきっと僕が普遍性のあるものを書こうとしなかったから起こったことだ、というふうに考えるだろう。(岡田利規『現在地』河出書房新社) 固有のものを突き詰めることで、個を超えた地点に到…

昔あったこと、今あること

成田空港建設に絡む抵抗は、現在もいまだに続いている。『三里塚に生きる』(日本、大津幸四郎・代島治彦)は、運動にかかわった地元農民の今を映す証言録だ。 土地政策に対するスタンスは住民によって千差万別だが、仲間の自死は、各々に今日までも傷を残し…

浮浪作家

素材はいたるところに転がっている。使えそうな着想には思いがけず出くわすもので、その尻尾をひょいと釣り上げさえすればよい。そうすれば新しい扉(とは言わぬまでも窓)が開き、巷で言われるごとく新鮮な風がどっと吹き込む。(トーベ・ヤンソン、冨原真…

原発事故から遠く離れて

福島第一原発の事故直後よりも、日数が経ってからのほうが、住民の生活や内面は、より深刻化している。 立場の相違、思惑のずれ、待遇の差……。 『フタバから遠く離れて 第二部』(日本、舩橋淳)は、県外の学校や、仮設住宅に避難した双葉町住民や町長らの思…

子どもたちの世界

エーリヒ・ケストナー『どうぶつ会議』(岩波書店)では、人間の会議のふがいなさにあきれ果てた動物たちが、世界中から集まって緊急会議を開催。政治家が言うことを聞かないので、やむなく、人間の子どもたち全員を隠してしまう。子どもを返すことを条件と…

劇画と色彩

劇画家・辰巳ヨシヒロの半生と短篇。 『TATSUMI』(シンガポール、エリック・クー)は、辰巳の実生活と空想を融合させた異色アニメだ。 古風でありながらスタイリッシュな作画が、斬新な色彩で画面に創造される。

好人物の魅力

アパートの住人に慕われる福ちゃんこと、福田辰男。女嫌いは、少年時代のトラウマが原因だった……。 『福福荘の福ちゃん』(日本・イギリス・台湾・イタリア・ドイツ、藤田容介)は、傷を背負いつつ、新たな可能性を導き出す人間たちの世界を優しく見つめてい…

時間は止まらない

ドキュメンタリータッチでリアルタイムで撮られた少年の6歳から18歳まで。 異色映画『6才のボクが、大人になるまで。』(米国、リチャード・リンクレイター)は、少年の周辺で父母は何度もパートナーを変えている。 環境が変わり、悪友にひきずられることが…

急ぐ前に

小説家が、よい作品を書き続けられるのは、せいぜい20年ほどだと言われている。これは、なぜか作品数ではなく年数だ。それを考えれば、自分の人生のどの部分を切り取るか、じっくりと考えてほしい。(伊東潤「急がず焦らず」『日本経済新聞』13日夕刊) デビ…

老人たち

『0.5ミリ』(日本、安藤桃子)のヒロインは、神であり、悪魔である。老人の弱みを握って接近し、幸福とも不幸とも言えない結末に導く。 彼女の手にかかるのは、エゴ丸出しの老人たち。ひどく滑稽でありながら、ひどくリアルな者ばかりだ。

やさしい人々

『やさしい人』(フランス、ギョーム・ブラック)は、シビアな設定だ。 落ち目のミュージシャン、マクシムにとって、唯一の希望は若い恋人と過ごす時間だった。ところが、最愛の彼女にも裏切られてしまう。帰郷した実家では、男やもめの父が恋に趣味にと毎日…

異文化の料理

『マダム・マロリーと魔法のスパイス』(米国、ラッセ・ハルストレム)とのタイトルでも、中心はマダムと対決するインド人一家。フランス人料理店のオーナーたる彼女を向かい側のスパイス料理店で脅かす。 食材の争奪戦や上げ足取りで戦争状態の両店だが、放…

アイデアの出所

「いいアイデアがなにも浮かばないときは、自分がこれまでかかわってきたもの、夢中になっていたものを、思い出すことのほうがいい。それ以外のものは、たいてい付け焼刃にしかならない」(島田潤一郎『あしたから出版社』晶文社) 心のこもった丁寧な本作りを…

作家になる

人はどのようにして作家になるのかという問いに、わたしはこう答える。自分の書いているものへの信念をけっして失うことなく、辛抱強く、執拗に書き続けることによってである、と。(アゴタ・クリストフ、堀茂樹・訳『文盲 アゴタ・クリストフ自伝』白水Uブッ…

アメリカンドリーム

インド初のメジャーリーガー発掘のため、エージェントが取った秘策とは? 野球経験のない若者たちの才能をスピードガン・コンテストで見抜き、短期間でプロに育て上げる。 実話というのだから驚きだ。エージェントの思惑はともかく、米国には、実力しだいで…

文学の姿勢

心の内側から見た時見えるものがある。構造から自由なもの、生きているかのように描かれるもの、それが文学だ。(笙野頼子『未闘病記――膠原病、「混合性結合組織病」の』講談社) 個に執着し、妥協しない。信頼できる文学の姿勢だ。

見えないファシズム

「熱狂なきファシズム」は、日本が不幸にも戦争することになれば、「熱狂あるファシズム」へと容易に転化しうるのだ。(想田和弘『熱狂なきファシズム: ニッポンの無関心を観察する』河出書房新社) 意識下に抱えながら、表出されないファシズム。よほど敏感…

真実の日記

第2次世界大戦末期、母から農園の祖母に預けられ、まともな食事を与えられることもなく、こきつかわれる兄弟。彼らを包囲するのは、兵士や村人の暴力と死だ。 『悪童日記』(ドイツ・ハンガリー、ヤーノシュ・サース)は、兄弟の残酷な日常を美しい映像で鮮明…

書きたいものを

私がこれから小説を書こうとする人に唯一言えるとしたら、今何がヒットしているかを考えるのではなく、書きたいものを書いたほうがいいと言うこと。自分に正直になるのが大切です。(宮部みゆき「自分に正直に書いてこそ」『日本経済新聞』8日夕刊) 一人の…

サブカルチャー

カウンターではなく、逸脱の役割を担うサブカルチャー。『ニッポン戦後サブカルチャー史』(NHK Eテレ)は、劇作家・宮沢章夫を講師として、戦後から現代までの変遷をたどる。 いつ、どこで、なぜ、だれが……。 当時見えなかったものも、振り返れば見えてくる…

何があろうと

『ジャージー・ボーイズ』(米国、クリント・イーストウッド)は、有名ミュージシャンの典型的なスキャンダルを織り交ぜながら、あらゆるエピソードを否定も肯定もせずに見つめている。 世界的にヒットしたポップ・グループ、ザ・フォー・シーズンズ。 人気…

炎の青春

『アオイホノオ』(テレビ東京)の舞台は、1980年代の大阪芸術大学。漫画家やアニメータを目指す若者たちの熱き日常が、コミカルに描かれる。 過剰な自信と繊細なコンプレックス。漫画家志望の焔モユルが取りつかれた妄想の浮沈をだれが笑うことができよう。…

文学の概念

文学の概念そのものにしても、詩、小説、劇、文芸評論だけを文学と考え、文学史の対象をその範囲に限定するのは、おかしい。パスカルは詩人でも小説家でも劇作家でもないが、むろん文芸評論家でもないが、フランス文学史に特筆大書されています。(加藤周一…

記憶されるもの

禁じられる物ほど、人は欲し、身の危険を感じてさえ、あらゆる手段を用いて守ろうとする。 『華氏451』(英国・フランス、フランソワ・トリュフォー)で守られるのは、書物だけではない。人の感情を揺るがす事物、いわば自由を守るための抵抗や、先人の遺産…

ワインのごとく

スイスの孤独な教師が、女の残した古書をきっかけにリスボンを訪れる。著者の数奇な運命をたどりながら、新しい出会いに目覚めていく。 『リスボンに誘われて』(ドイツ・スイス・ポルトガル、ビレ・アウグスト)の構成は、オーソドックス。オーソドックスで…

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