2017-08-01から1ヶ月間の記事一覧
失われたがゆえに再現された景色と感情は、愛おしい。 『草原に黄色い花を見つける』(ベトナム、ビクター・ブー)には、豊かな自然があり、弟との愛憎があり、幼なじみの少女との別れがある。
質素なアトリエから生まれた細長い彫刻。『ジャコメッティ展』(国立新美術館)で明かされるのは、彼に見えた世界であり、彼にとっての現実である。
全編、音楽に合わせて、動く人間たち。『ベイビー・ドライバー』(米国、エドガー・ライト)は、ピカレスクロマンであり、青春映画でもある。融合が別のものを育むが、根底には、米国映画の伝統がある。
様式美にこだわらぬごつごつ感。『写狂老人A』(東京オペラシティアートギャラリー)、『センチメンタルな旅 1971−2017−』(東京都写真美術館)は、完結しない荒木の膨大な写真群が、自由な日常性を実感させる。
まじめだが、空回り。ヒーローになりたいが、心身とも成長しきれていない。『スパイダーマン ホームカミング』(米国、ジョン・ワッツ)は、発展途上の高校生がアベンジャーズ入りを目指して奮闘する青春ストーリーだ。 強靭だが、負荷がかかると切れてしま…
『海辺の生と死』(日本、越川道夫)は、島尾敏雄・ミホ夫妻の小説と現実を混ぜ合わせた世界である。特攻による死を控えた若き隊長と、自決の準備をしていた島の女。二人の純愛は、戦時中に完結していた。戦後の夫婦生活は当時の幻影を追い求めるだけにすぎ…
『十年』(香港、クォック・ジョン、ウォン・フェイパン、ジェボンズ・アウ、キウィ・チョウ、ン・ガーリョン)は、香港の若手5人が、自国を風刺したSFオムニバス。現実の延長線にある物語は、どれもリアルだ。同様の企画は、他国でも成立するだろう。
『カーズ クロスロード』(米国、ブライアン・フィー)は、中年の生き方を指南する。 天才と言われたレーシングカーのマックイーンも、もはや若くはない。次世代レーシングカーに迫られ、かつての仲間たちは次々と引退。もはやスピードではかなわなくなった…
紛争・環境問題・スポーツ……。『世界報道写真展2017』(東京都写真美術館)の写真が明らかにする世界の現実は、一つではない。