2007-06-01から1ヶ月間の記事一覧

過去なんて

未来の修正というのは出来ぬが、過去の修正ならば出来る。そして、実際に起こらなかったことも、歴史のうちであると思えば、過去の作り変えによってこそ、人は現在の呪縛から解放されるのである。(寺山修司) 自分の過去をすべて知るのは自分だけだ。トラウ…

フィクションの力

かつてフィクションの根底には、現実とつながりつつ、現実を越える世界観があった。劇団、本谷有希子の演劇『ファイナルファンタジックスーパーノーフラット』で展開される戯画的空間に、記号を越えるものがあるだろうか。 漫画オタクの青年が、ネットを通じ…

自分がいっぱい

自分というキャラクターは一つではない。どうにでも演じられるはずだし、だれでも、その可能性を持っている。だが、人前で自分を演じることが制約となり、キャラクターを狭めてしまうこともある。プロの俳優なら、硬軟自在の役柄を巧みに演じられるだろうが…

連呼を笑えるか?

宣伝車で名前を連呼し、街頭で握手を求める選挙運動。 うるさいわね。いまどき、おかしいわよ。 たいていの人がそう思う。だが、そんな風習が途絶えないのは、どぶ板選挙とか呼ばれる前近代的な戦術に共鳴する人も現にいるからである。 ドキュメンタリー映画…

見えない覚悟

映画『Dolls』、ドラマ『純情きらり』……。クールな演技で活躍する俳優・西島秀俊が、『日経マガジン』6月号のインタビューで、将来について語っている。 「これっぽっちも考えていません。映画にかかわるっていうのはたぶん、未来がないとおもっていないとだ…

観客ばんざい!

映画を撮りたくても資金がなく、失意の晩年を送った監督は少なくない。思うがままに映画を撮れる北野武は、幸せである。反面、彼を抑える者が周囲にいないから、見るに堪えない作品も生む。つまらない、くだらないと怒る観客がいたところで、北野は無視する…

許すのはだれか

シリーズ3作目『スパイダーマン3』(米国、サム=ライミ)で、スパイダーマンことピーターは、すっかり嫌な男になってしまう。ヒーローとして、もてはやされて有頂天。一方でガールフレンドの悩みを踏みにじる。青年期特有の鈍さと言ってもいいが、ピーター…

生きものたちは都会を目指す

近年のタイでは、都会で暴れる象が多いという。村で暮らせなくなって、バンコクなどに出稼ぎに来た象だ。(東川光二「どこで生きればいいのか」『週刊金曜日』6月1日号) ……自分が食べる餌を買ってもらうため、バナナやサトウキビを積んで夜の繁華街を売り歩…

小説家のためのダイエット

小説は、書き手のやむにやまれぬ衝動によって生まれるのだろうか。それほど重いものなのだろうか。 村上春樹は、書き手に課せられた足かせを取り除いた。『若い読者のための短編小説案内』(文藝春秋)で、こう語っている。 僕の場合にはもともと「書くべき…

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