2009-10-01から1ヶ月間の記事一覧

ゆっくり生きる

「疲れをいやすのに酸素を使うのは短いスパンでは疲れが取れていいのですが、長い目で見ると行き急ぐ流れになっています。本来はからだを休ませて疲労を回復させるべきなのに、無理やり疲れをとってしまう危険な生き方なのです。 長生きの条件は、忙しく生き…

フィクションの定義

「問題の本質は、その問題が顕在化する前の段階に潜んでいるのです。問題を直接扱ってしまうと、対症療法になってしまう。……問題の所在自体があいまいであったり、価値観がずれている人がいるなど、フィクションの要素を入れていかないと本当の意味でのロー…

愛ではなくて…

退廃のあとの和解、絶望の中の希望。 『ヴィヨンの妻〜桜桃とタンポポ』(日本、根岸吉太郎)に描かれる小説家夫婦の関係には、「愛」という一言では収まらないものがある。

訴訟社会

ドナー役を強要された娘が両親を訴える。 11歳で分の悪い原告に、弁護士や判事が協力。家族の絆も、かえって深まる。 『私の中のあなた』(米国、ニック・カサヴェテス)には、訴訟社会の理想像がある。

作家の強さ

「希望や喜びを持たない語り手が、我々を囲む厳しい寒さや飢えに対して、恐怖や絶望に対して、たき火の前でどうやって説得力を持ちうるだろう?」(村上春樹「物語の善きサイクル」『モンキービジネス』Fall vol.7 物語号) 虚無感に浸るのはたやすい。 だ…

飽食社会

魚ばかり食べていた人間たちがファーストフードや肉の味を知り、好きなときにいくらでも食べられるようになったら……。 リクエストに応じて空から食べ物が大量に降ってくる『くもりときどきミートボール3D』(米国、クリス・ミラー、フィル・ロード)。 恩…

日記としての実作

「『本』は、一人の者によって書かれるのでもなく、一人の者によって作られるものでもないのだから。それは、書いた者にとっても、読みなおすために、書かれたのだ」(金井美恵子『岸辺のない海』河出文庫の著者あとがきから) その年齢、その時点での心境や…

空気人間

心を持ったラブドールと孤独な人間とのかかわりを通して、人間の空虚感を表現した『空気人形』(日本、是枝裕和)。 そもそも、人間の幸福とは何か。それを突き止めることなく、空気が抜けるまでの間、惰性で生きているのが人間のようである。

悪役の背負うもの

米国のスターは、テンションの高い悪役を演じるのがうまい。『サブウェイ123 激突』(米国、トニー=スコット)で、鉄道職員を翻弄する地下鉄ジャック犯を務めたジョン・トラヴォルタも、その一人である。 高度な知能と激情的な神経を併せ持つ犯人には、米国…

アクセスカウンター