2012-05-01から1ヶ月間の記事一覧
2009年、男子中学生が「先生を流産させる会」を結成。女性教師の給食に異物を混入した。 『先生を流産させる会』(日本、内藤瑛亮)は、事件を素材にしつつも、生徒を女子に置き換え、女性の生理的対立をテーマに据えた。 妊娠を気持ち悪がる生徒。おなかの…
韓国の現代アーティスト、イ・ブル。 『イ・ブル展』(六本木、森美術館)のスタジオセクションでは、彼女のドローイングや模型が公開されている。 鋭利でグロテスクなアートの創作過程。とらえどころがあるようで、とらえどころはない。 それこそが、世界な…
感情を持ったロボットが、自分を廃棄した人間たちに復讐。合体で驚異的な兵器となり、開発者の博士を窮地に追い込む。 SF仕立ての『ロボット』(インド、シャンコール)だが、さすがインド映画。ミュージカルあり、ラブロマンスありの大判振る舞い。センスの…
初老の靴磨きは、不法移民の少年をかくまっていることを隠す。妻は不治の病を夫に明かさない。 町の老人たちのつく数々の嘘は、気遣いゆえに生まれたものである。嘘が人々の困りごとを解決し、警察でさえ、加担する。 おとぎ話めいた『ル・アーヴルの靴みが…
認知症の母と二人っきりで過ごすならば、とうに気が滅入っているだろうが、『わが母の記』(日本、原田眞人)の作家は、世話を妹夫婦に任せ、母と一緒の時間は少ない。従順な妻や個性豊かな三人の娘の存在も、彼に題材を与えたり、執筆の専念に貢献している。…
何かが起きたあとではなく、何かが起きそうな場面。 ロベール・ドアノーが被写体に選ぶのは、街のそんな光景だ。だれもいない建物よりも、人が映っている写真のほうが、微笑ましい物語の始まりを予感させる。 『生誕100年記念写真展 ロベール・ドアノー』(…
老人の世話を怠って外出した家政婦をナデルは外に放り出し、流産させてしまう。そのせいで訴訟沙汰に。 ナデルは家政婦の妊娠を知らなかったのか? 家政婦が外出した理由は? ナデルの離婚問題に悩む娘の選択は? 家の中の出来事が、宗教や経済も絡む複雑な…
使用済み核燃料の放射線が安全なレベルになるまでには、10万年待たなければならない。 現存している人間が10万年後を見届けるには、どうすべきか。10万年後の地球は、どうなっているのか。 フィクションでしか描けない命題に挑んだのが、渡辺源四郎商店『翔…
ラッパーでの成功を夢見る田舎町の若者たちの友情と挫折。 『SR サイタマノラッパー ロードサイドの逃亡者』(日本、入江悠)では、口げんかも励ましもラップでする男たちが、哀しくも微笑ましい。