2015-10-01から1ヶ月間の記事一覧

園子温の底力

園子温が原作物のエンタメに徹したときは、怖いもの知らず。 『映画 みんな!エスパーだよ!』(日本)も、ゆるみのないSF喜劇だ。 童貞の高校生エスパーたちが結集して、悪のエスパーと対決。男の妄想を実現させた映像だが、演じる女性キャストも楽しそうだ…

異端こそ本道

ハリウッド型の明快な映画とは一線を画したアルトマン。 ドキュメンタリー『ロバート・アルトマン ハリウッドに最も嫌われ、そして愛された男』(カナダ、ロン・マン)は、アルトマン自身の証言も踏まえつつ、彼がインディペント映画の第一人者になるまでの…

芸術の舞台裏

『ボリショイ・バビロン 華麗なるバレエの舞台裏』(英国、ニック・リード)は、芸術監督への硫酸事件までも起きたロシアの名門バレエ団の内幕をよくぞここまでというレベルまで撮影したドキュメンタリーだ。 芸術を愛する一方、衝突しあうバレエ団のダンサ…

デジタルとアナログ

NHKのドキュメンタリー『浦沢直樹の漫勉』で、浅野いにおは、写真のパソコン処理とペン書きを融合させる。大枠をデジタルで済ませ、描き込む作業をアナログでこなす。 テクノロジーの進化に伴う時代の贅沢な作画。 描く方も楽しそうだ。

変えるべきもの

改憲論を唱える人も少なくない。しかし私が理解する限りにおいては改憲論の根拠というのは、現行憲法が(良すぎて困る)から改定しようという意見のようである。つまり少しばかり改悪した方が都合がいいから、世界の実情や日本の実情に合うように改悪しよう…

皮肉な回顧談

『小さな巨人』(米国、アーサー・ペン)は、先住民と白人の両社会を行き来して奇異な体験をした老人の回想話を喜劇調に描く。 信仰と英雄神話の裏面を辛気くさくならないよう活写することで、皮肉は、より広がるのである。

脱構築

村上春樹の自伝的エッセイ『職業としての小説家』(スイッチ・パブリッシング)は、小説作法の心得であると同時に、生き方の処世本でもある。 ふとした偶然で手がけることになった職業を、いかに掘り下げ、表現を伝える場を広げたか。実践に裏打ちされた手の…

殺戮の自発性

環境対策のためには人口を削減すればよい。人間同士が殺し合いをすれば目的は果たされる……。こうした論理こそが、人類の歴史で戦争を絶やさない一因となっている。食料も資源も、人間が増えすぎないことで、備蓄できるという発想につながるからだ。 『キング…

青春の逃走

『俺たちに明日はない』(米国、アーサー・ペン)は、ただの犯罪映画ではない。 不能の男、町を出たいと願う女。退屈な生活からの脱出を欲している者同士だが、安定した生活や家族への思慕は消えていない。 銀行強盗を働いて道を踏み外したが故に、逃走生活…

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