2013-09-01から1ヶ月間の記事一覧

ナンセンスの構造

五反田団『五反田団の朝焼け』(アトリエヘリコプター)は、サークル同士の勢力争いと男の失恋を交錯させた喜劇だ。 ナンセンスに徹することで、現実と妄想を縦横に拡充させた構造が、くっきりと見えてくる。

古風な物語

血のつながりも、性の衝動も、『共喰い』(日本、青山真治)の世界は、あまりに古風だ。 だが、古風であるがゆえに、物語への郷愁を誘うのである。

ゾンビの感情

定番のゾンビ物とは違う。 『Miss ZOMBI』(日本、SABU)は、人が感情を失い、ゾンビが感情を得る。 ゾンビと化した子どもは、救ってくれた女ゾンビと共に逃げる。狂人と化した母に追われたからだ。母が自死し、ゾンビとして再生したときは、彼女のもとに戻…

料理は芸術

ミッテラン大統領に仕えた女性料理人、ダニエル・デルプエシェ。 彼女をモデルとした『大統領の料理人』(フランス、クリスチャン・バンサン)では、大統領直下の保守的な厨房で孤軍奮闘。規律に縛られた男たちには思いつかない魅力的な料理を次々と作り上げ…

奔放とセンス

『わたしはロランス』(カナダ・フランス、グザビエ・ドラン)は、性同一性障害の男とその恋人との10年にわたる出会いと別れを基軸に、奇抜でファッショナブルな映像が挿入される。 題材にしばられて、変に重くなるわけでもなければ、不自然に軽くなるわけで…

タイツの中身

カラオケボックスでしゃべりあう全身タイツの男女たち。体を覆うことで、日頃のしばられた精神を解放しているのだ。 『ゼンタイ』(日本、)では、オムニバス形式で、彼らの苦い日々が明かされていく。 草野球、コンパニオン、飲み会、スーパー……。 残酷で繊…

大陸の風景

筋を追うだけなら、ありきたりの青春ロードムービーに終わりかねない『オン・ザ・ロード』(フランス・英国・米国・ブランド、ウォルター・サレス)。 光沢を与えたのは、アメリカ大陸の映像美だ。 決して甘い思い出とは言い難い、破天荒で哀しい出来事も、…

束の間の幸福

ロサンゼルスの犯罪多発地区でロケした『エンド・オブ・ウォッチ』(米国、デビッド・エアー)の画面は、終始緊張感に満ちている。 いつ襲われ、殺されるか。警官でさえ、危険性から逃れられない。 同僚や家族と過ごす時間は、束の間の幸福なのだ。

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