2017-01-01から1ヶ月間の記事一覧

神との対話

拷問を避けるため、表向き転向をしたとはいえ、内面から信仰が消えたとは限らない。 『沈黙 サイレンス』(米国、マーティン・スコセッシ)には、心身共に信仰を捨てた宣教師もいるが、何度も踏み絵を踏みながら、信仰から離れない信者もいる。問われるのは…

囚われた魂

『The NET 網に囚われた男』(韓国、キム・ギドク)は船の故障で国境を越えてしまった北朝鮮の漁師が、スパイ容疑で韓国警察に拷問され、帰朝後も裏切りを疑われて北朝鮮兵士に監視され、ついには射殺されるという理不尽なヒューマンドラマだ。 美しい映像は…

発見の仕方

「伝わりにくいもの」をどう伝えているか。そこに重点を置いて読むと、新しい発見があるのだ。 (荒川洋治『過去をもつ人』みすず書房) 発見をするには、発見の仕方を知っていなければならない。発見の感性を絶やしてはならない。

詩の成立

ウェブページから拾い集めた文章も、意図を持って構成すれば、詩になる。 山田亮太『オバマ・グーグル』(思潮社)は、引用と独創を考えさせる詩だ。 言葉は、どこからか来たものの集積なのである。

芸術アニメ

一場面一場面に時間をかけ、味のわかる鑑賞者に向けて届ける映像の美学。 商業アニメのようなワクワク感はないが、芸術アニメからは作り手の楽しみが伝わってくる。

対人手法

「アサーション」は、対人関係を円滑に進める有効な手法だ。 意志表示をしておけば自身の不満を減らすことができる。相手を立てれば意見が通じやすくなる。万一、コミュニケーションがうまくいかなくても、通じない場合の心構えを事前に用意しておけば、大き…

かなわないもの

植本一子『かなわない』(タバブックス)は、母として、あるいは主婦として、育児や家事に悩む著者の本音を綴る日記も引きつけるが、後半のエッセイでは、離婚の未遂劇や、恋人との先行きに悩む女の葛藤が、真に迫る。 ここまで書いていいのかというものを書…

騎士の叙事詩

『聖杯たちの騎士』(米国、テレンス・マリック)は、脚本家として成功した男の、豪勢でありながらどこか満たされない世界を、父や関係した女たちの心の声を交えて、俯瞰する。タロットカードの章立てにちなんで構成されているが、余計な説明は避けられている…

晩年の幸福

周りから敬遠されている頑固者に対しても、要因を知れば、見方が変わるだろう。 『幸せなひとりぼっち』(スウェーデン、ハンネス・ホルム)のオーベも、そんな男だ。町内会長とは仲たがいし、規則違反の住民には小言を言い、町を行き来するホワイトカラーを…

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