2025-06-01から1ヶ月間の記事一覧
オレオレ詐欺に引っ掛かった老婆が、泣き寝入りどころか、自身の手でお金を取り戻そうと奮闘する。若いときと比べ、体の無理は聞かないが、老練な知恵がある。監督の実体験をベースにしたという『テルマがゆく! 93歳のやさしいリベンジ』(米国・スイス、ジ…
極道の息子と、名門歌舞伎役者の御曹司。愛憎混じる両者の葛藤はもとより、師匠夫妻や愛人、名役者、タニマチなど、『国宝』(日本、李相日)の登場人物は少女漫画のように役割が明確だ。高度な技能を必要とする歌舞伎役者を男優二人が演じることの緊迫感が…
ゴジラはアーティストにとって、最良の素材だ。 『ゴジラ・THE・アート展』(森アーツセンターギャラリー)では、たとえ、登場しない写真やジオラマであっても、存在を感じさせる。
喜劇調の原作と違い、映画版の『夜明けのすべて』(日本、三宅唱)は、冒頭のモノローグをのぞけば、映像の語りに徹している。恋愛的なものや、過剰な友情に発展することを回避し、同僚として過ごした短い期間を、淡い光のような色調で綴っていく。 当人にと…
限界集落で手書きの新聞を作って地域の問題を伝え、ボランティア活動にも精を出す男。被災後も姿勢は変わらない。彼に密着する『能登デモクラシー』(日本、五百旗頭幸男)が、英雄譚や告発劇と違うのは、地元の幸せを願う彼の真摯な態度が、町長以下の議員…
第一次世界大戦後、戦争に行った夫は帰還せず、工場経営者からはお腹の子どもと共に捨てられ、頼った女は闇の仕事を手がけていて……。『ガール・ウィズ・ニードル』 (デンマーク・ポーランド・スウェーデン、マグヌス・フォン・ホーン)の女自身も、特異な性…
シリーズ1作から30年を経た『ミッション:インポッシブル ファイナル・レコニング』(米国、クリストファー・マッカリー)でも、主演トム・クルーズの体を張ったアクションは健在だ。海底に沈んだ潜水艦内でも、空中で回転するプロペラ機の機体でも、世界を…
いまならありえないであろうスパルタ絵画教師の熱血指導のもと、美大に進み、やがて念願の漫画家になった明子。『かくかくしかじか』(日本、関和亮)は、もうこの世にいない恩師との葛藤を回想するのだが、コメディーに徹することで辛気臭さから逃れている…