2017-11-01から1ヶ月間の記事一覧

解放する映像

息子たちに、あるいは自分自身に。 『エンドレス・ポエトリー』(フランス・チリ・日本)は、映像詩人アレハンドロ・ホドロフスキーが、旺盛に語る自伝であり、世界史であり、アートである。 情熱的で奔放な語り口に、意味を問う必要はない。観る者も呪縛か…

存在した侵略者

『予兆 散歩する侵略者』(日本、黒沢清)は、本編の前章としてWOWOWで放映された物を再編集したものだ。前半の恐怖感、後半の滑稽感は、本編と違う味わいがある。 人間の姿をした異星人は、はるか以前から、世界のあちこちに存在していたのかもしれない。人間…

戦時下でも

戦時下だって、映画は作るし、恋もする。 『人生はシネマティック!』(英国、ロネ・シェルフィグ)は、第2次大戦中、砲撃の絶えないロンドンで、映画作りに加わった女の数奇な運命を描く。 製作の現場・私生活・劇中劇のすべてが絡み合い、切ないが感動的な…

作家とオタク

……圧倒的少数派かもしれないが、僕にとっては『シン・ゴジラ』は物足りない作品だった。……それが何かと言うと「それで、庵野監督は結局、何をやりたかったわけ?」ということだ。……映画を作るとは、監督のやむにやまれぬ思いを込めるということだ。そういう…

この世界で

牧師や教団運営者も、抵抗する男も、信用できない。警察さえ、頼りにならない。 『我は神なり』(韓国、ヨン・サンホ)は、誰も頼ることのできない世界の無常さと、そこで生きていくしかない人間の必死さを、実写のようなリアルさで浮き上がらせたアニメだ。

絵画の鑑賞

絵画の解説は、どこまで必要か。観る者に委ねておく余地も必要だろう。 『怖い絵展』(上野の森美術館)の評価は、鑑賞者次第だ。

映像の小説

元夫から送り付けられた異様な小説を読み、女が男の歪みを目の当たりにする。『ノクターナル・アニマルズ』(米国、トム・フォード)は、小説のけん引力を、映像という手段で再現し、活写する。スタイリッシュなサスペンスだ。

荒野の実在

『あゝ、荒野』(日本、岸善幸)は、ボクシングに打ち込む二人の青年と、彼らを取り巻く人間たちの群像劇だ。寺山修司の小説を現代版にアレンジしたものだが、虚構の域にとどまる原作とは対照的な実在感がある。 魂のこもった映像。肉感的な役者。前・後篇合…

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