2009-12-01から1ヶ月間の記事一覧
なぜ? どうして? 金融資本主義に切り込んだ『キャピタリズム〜マネーは踊る〜』(米国)でも、率直に疑問をぶつけるマイケル=ムーアの姿勢は変わらない。 ムーアに喝采を浴びせればいいというわけではない。我々自身が、ムーア的な疑問と行動を保てるかど…
芸術という概念が終わっても、人に芸術という概念を生み出させた力そのものは終わることがない。それは、たとえわたしが死んだとしても世界が終わるわけではなく、私とは別の人間がこの世界で生き続けるだろうというのと同じ意味において、そうなのだと思い…
ヒトラーらナチの高官を映画館ごと焼き殺すという『イングロリアス・バスターズ』(米国、クエンティー=タランティーノ)。 アイデアの残酷さは、映画館への甘美な夢を失っていない『ニュー・シネマ・パラダイス』と対極にあるかのように見える。 しかし、…
地デジ導入によって、この世から葬られることになったアナログテレビ。『おくりびと』の音楽をBGMにして、納棺師がテレビを棺に入れる。家族は、すすり泣く。 コント『ザ・ニュースペーパー Part76』(銀座博品館劇場)の一場面である。
「文学と戦争の関係を現代の視点から問い直す動きが広がっている。近年の多種多様な戦争小説の背景を探る評論、戦後文学の再評価を試みる小説など、切り口はいろいろ」(「活字の海で」日本経済新聞13日) 記事では、陣野俊史の連載評論「『その後』の戦争小…
面白いことを追うためには、面白くないことにうんと耐えなければいけません。面白い道に入っても、すぐに面白くなくなります。でも、止めてしまえば、本当に面白いとこには行かれません。(古井由吉『人生の色気』新潮社) 持続性がなければ、獲物をつかむこ…
行き詰った劇作家が自分の実人生を舞台上に再現する『脳内ニューヨーク』(米国、チャーリー・カウフマン)。 舞台内外の人間関係は常に変動しており、劇作家がつかまえようとしても、いっこうに決着がつかない。準備に17年かけても、上演できぬままだ。 …
りんご、じゃがいも、ハチミツ、にんじん。農家の一家族を描く弘前劇場の演劇『アグリカルチャー』では、場面ごとに違う食材が登場。 一同がカレーを食する場面で終わる。