2013-10-01から1ヶ月間の記事一覧

永遠のドラマ

古風な純愛、不変のトラウマ……。 『潔く柔く きよくやわく』(日本、新城毅彦)は古典的少女漫画のアイテムを使いつつ、大切なものを失ったまま、残された者の生命を支援している。 災害後であれ、災害前であれ、この種のドラマは、永遠に存続するのである。

書くことの持続

小説をひとつ書くのはそれほどむずかしくない。優れた小説をひとつ書くのも、人によってはそれほどむずかしくない。簡単だとまでは言いませんが、できないことではありません。しかし小説をずっと書き続けるというのはずいぶんむずかしい。(村上春樹「職業…

危険でないプロット

友人家族をモデルに皮肉な小説を書く高校生と、彼を指導する国語教師が、小説に引きづられて、自分の立場を危うくしていく。 『危険なプロット』(フランス)は、フランソワ・オゾンらしく、辛辣で凝った映画だが、小説ならばありがちの設定だ。教師と生徒の…

歴史の真実

貧民に対する牧場主たちの横暴を描いた『天国の門』(米国、マイケル・チミノ)。 爽快感やロマンティシズムを裏切り、次々と救いを排除していく展開は、1981年公開当時の興行的な失敗と制作会社の倒産を納得させるものである。 主人公以外、だれもかれもが…

焼き直しの切り口

少女時代に焦点を絞った『おしん』(日本、冨樫森)は、現代人にも共感できる成長物語だ。 運命の陰惨さは控えめだが、新鮮な切り口は、既成ドラマの焼き直しに様々な示唆を与えている。

絵画的世界

手足の自由がきかない中、絵筆を取り続けるオーギュスト・ルノワール。 絵に情熱をささげる一方、息子ジャンやモデル、使用人たちとのかかわりは、決してきれいごとで済ませられるものではない。 だが、『ルノワール 陽だまりの裸婦』(フランス、ジル・ブル…

小説を書く意味

綿矢 書いているうちに、自分の考えている事以外のことも小説に入ってきたりするから、実は考えていること以上に言語化できるようなところがあって、実際に話したり他のやり方では表現できないことも、文章ならできるという人は小説家に多いように思います。…

なること

金が絡むが、金だけではない。情が絡むが、情だけでもない。 『そして父になる』(日本、是枝裕和)の男は、病院による子どもの取り違えが発覚し、息子の交換を迫られる。 血のつながりだけにこだわる男が、長年育てた子を手放すとき、つながりだけでは割り…

滅びゆく世界

余談だが昨今ファストフード店や量販店の冷凍ケースや冷蔵庫の山と積まれた食品の上でその店に就労する若者が寝そべり、You Tube に投稿し話題になっている。これをテレビ評論家などは若者のモラル低下、質の悪いいたずらと一蹴するが、私には無保証、低賃金…

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