2012-04-01から1ヶ月間の記事一覧

アイデアを束ねるもの

一見、バラバラに見える事物を結びつけるには、果たしてどうすればよいのか。最初の二つのアイデアを束ねる、第三のアイデアに思いを馳せるんだ。(デイヴィッド・リンチ、草坂虹恵・訳『大きな魚をつかまえよう――リンチ流アート・ライフ∞瞑想レッスン』四月…

虚構との距離

今までの僕にとって、虚構性というのは単に非日常的なもの、というくらいのことでしかなかったんだけど、今の僕には非日常性とはもはや関係ない。虚構とは、日常や現実を相手取ってそれと緊張関係を作るものです。日常を挑発する感じ。ややもするとけんかを…

過去の手法

サイレントの終焉と共に落ちぶれたスターがミュージカルでスクリーンに復活。そんなストーリーを描く『アーティスト』(ミシェル・アザナビシウス)自体、サイレント映画である。 製作はフランス。だが、ハリウッドのサイレントを丹念に研究した成果が、個々…

終らない小説

陣野 ……コントロールしようと思っていない作家って、いつも小説が終ったときに始まっているんだと思うんです。小説が終わった瞬間に小説が始まっているというか。「共喰い」にも終わらせていない感じというのがあって、僕はそれはいい小説の一つの判断基準だ…

世界に必要な文学

翻訳を通じて、文学が国や言語や時代を越えて、新たな価値を持ち、生き続ける――そのプロセスそのものが世界文学であるとするならば、大惨事を越えて新たな価値を獲得し、新たな生命を享ける文学もまた確かに世界文学である。私たちはそのような「3.11以後の…

死にゆく人間のために

死にゆく人間こそ、だれよりも芸術に飢えているものだろう。自分が死んだ後にいくらお経を唱えられても、葬送の曲を流されても、そんなことは知ったことではない。人生の終りに読み聞かしてもらいたい作品、それを聴きながら死にたい楽曲、人間が生きている…

映画と政治

大統領選の舞台裏で行われる策略の数々。『スーパー・チューズデー〜正義を売った日〜』(米国、ジョージ・クルーニー)では、やり取りに絡む立候補者や選挙参謀は、決して善人ではない。だが、根っからの悪人にも見えない。 政治の構図を皮肉に見つつ、必要…

趣味の効用

鉄道マニアでない者でも、趣味を楽しんで生きる男たちの姿を温かく見つめたくなるだろう。 『僕達急行 A列車で行こう』(日本、森田芳光)の 小町圭も小玉健太も、鉄道マニア同士のつながりで大きな商談を成功させる。 二人とも恋には破れるものの、趣味の…

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