2017-10-01から1ヶ月間の記事一覧

目には目を

銃社会に対抗するには、手荒な手段でしか、法案を可決できまい。『女神の見えざる手』(フランス・米国、ジョン・マッデン)は、そんな過程に基づくサスペンスだ。ジェシカ・チャスティン扮する凄腕のロビイストが違法すれすれの策を駆使してまで、工作活動に…

日本の体質

若い人たちに太平洋戦争の話をするときにはいつもいうんですが、当時の国民はみな戦争には「のっていった」んですよね。なぜなら、大きな流れの中にいたんですから。(高畑勲談―アーサー=ビナード:編著『知らなかった、ぼくらの戦争』小学館) 「戦争にの…

人の惑星

もはや、彼らが猿であることを必要とはしない。猿の惑星は、古今東西の人間界である。猿の葛藤は、人類史なのだ。 『猿の惑星:聖戦記(グレート・ウォー)』(米国、マット・リーブス)は、前線から取り残された傍流の兵士たちによる強圧的な支配に猿たちが…

暴力の終幕

残忍な抗争劇は、喜劇である。 『アウトレイジ 最終章』(日本、北野武)は、極度の謀略といがみあいが、いかに滑稽さにつながることを、深刻かつ、遊び心に豊かに撮っている。 韓国の組織とのトラブルの末、内部分裂した組に落とし前を付けた末、命を絶つ大…

時を超えて

残っている仏像は限られ、どれが彼の手によるものかも一部しか、わかっていない。だが、彫った像の力強さ、奥深さは、今日においても、観る者を圧倒する。 『運慶展』(東京国立博物館)の仏像には、時空を超えた意志と表情がある。

夢の支え

米国は、あらゆるものを衝突させるが、それが新しいものを生む動力源になっている。NASAの現場もそうだ。有人宇宙飛行を成功させたスタッフには、有能な3人の黒人女性がいた。 『ドリーム』 (米国、セオドア・メルフィ)は、知性に恵まれた彼女たちの活躍ぶり…

ゾンビの救い

大家に家賃を催促される貧乏女。同居するヒモ男は、てんで頼りにならない。おまけに、町がゾンビに占拠され、ひたすら逃げ回る。彼女の救助に必死の父親も、その正体は……。 『ソウル・ステーション パンデミック』(韓国、ヨン・サンホ)の彼女は、ゾンビか…

子どもと世界

子どもの世界で、ごまかしはきかない。 だが、子どもの世界だからこそ、修復できる関係もある。たとえ、彼女たちを支える大人の社会に格差があったとしても。 『わたしたち』(韓国、ユン・ガウン)の少女たちには、世界の現実と可能性がある。

青春の範囲

恋やら家族ドラマはなし。『あさひなぐ』(日本、英勉)は、女子高生のなぎなたの試合と稽古にのみ焦点を当てることで、青春とアイドルの爽やかさを表現しえた。感情もある範囲にのみ絞っている。何もかもあるのが青春ではなく、何かしかないのが青春なのだ。

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