2007-03-01から1ヶ月間の記事一覧

ノット・シンプル

「お前の人生はすごい。今時こんな映画もない、これだけの話がつまった映画だと逆にウソっぽく見える。お前の事を小説にする」 青年に男が語りかける。漫画『not simple』(小学館)のプロローグだ。題名と裏腹に、一つ一つのエピソードはきわめてシンプル。…

アルトマンの最後の一夜

公開ラジオ番組の最後の一夜を描いた『今宵、フィッツジェラルド劇場で』(米国)が、ロバート=アルトマン監督の最後の映画になった。例によって群像劇だが、お家芸の毒気は控えめ。のんびりした内容で、カウボーイソングやらゴスペルやらを気軽に楽しめる。…

不快さのリアリティー

ポツドールの演劇『激情』(ザ・スズナリ)は、不快な人物、不快なエピソードを並べ立てることで、現代的なリアリティーを浮かび上がらせようとしている。人物が切れたり、性行為をするところさえ、観客に容赦なく見せてしまう。 すべてを見せようとすれば、こ…

チャンウェイの風景

世界的な撮影監督、クー=チャンウェイ。映画監督としてのデビュー作が『孔雀 我が家の風景』(中国)である。主役は三人。知恵遅れの兄、とっぴな行動をする姉、内気な弟。それぞれの視点で、変わりゆく家族の個人史が語られる。 チャンウェイならではの印…

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