2021-08-01から1ヶ月間の記事一覧

野球は人生

部活で挫折した女子高生と、元プロ野球選手のアドバイザー。二人が働くバッティングセンターを訪れる女性客は、いわくつきの者ばかり。何かをかかえる女たちが、妄想の試合で登場する名選手の一言で救われるという『八月は夜のバッティングセンターで。』(…

おごりを許すもの

安倍政権であれ、現政権であれ、盤石どころか、突っ込みどころは多いが、それでもとらえられないのは、報道機関の弱体化に追うところが多い。望月衣塑子・五百旗頭幸男の共著『自壊するメディア』(講談社+α新書)は、ジャーナリストとしての意識を堅持する…

考証する人

どうしてこうも俺たちと評価が違うんだろうと。乱暴に言うと、「スパイの妻」で違っちゃうのは、時代劇に電信柱が映っていても気にならない人と、それは違うだろうという人との、その差だと思うんだよね。気にならない人が多くなったんじゃないの(荒井晴彦…

人生の花

坂本長利の一人芝居の原作でも知られる『土佐源氏』は、宮本常一『忘れられた日本人』(岩波文庫)に収録されている。馬喰だった盲目の老人が語るのは、外れ者だった生い立ち故の数奇な生涯だが、魅力は極道者を自認する彼というよりも、かかわりのあった女…

戦争はまだ・・・

終戦ドラマ『しかたなかったと言うてはいかんのです』(NHK)は、捕虜に対する人体実験という実話は元に、死刑囚や家族たちの葛藤を綴る。大学教授の指示によって、手術の立ち合いを強要された鳥居は、首謀者でもなければ、意思決定者でもない。求刑後の嘆願…

なぜ彼女は?

変わり者にしか見えなかった女の秘めた意外な計画。『プログラミング・ヤング・ウーマン』(米国、エメラルド・フェネル)のキャシーが執念をかけて晴らすのは、友人の仇であり、虐げられた女の怨念である。恨みは、男社会の共犯者とも言える同性にさえ向け…

彼女たちの結束

『17歳の瞳に映る世界』(米国、エリザ・ヒットマン)は、望まぬ妊娠をした女子高生が、親の同意なしに中絶が可能な他州へバスで向かう。付き添うのは唯一の友とも言える従兄弟。シンプルな設定に、女性問題、法規制など、様々な問題が取り上げられる一方、…

本来の政治家

「日本のデモクラシーも安倍政権以後「ジャクソニアン」化しつつあるというのが私の診たてである。日本の有権者たちはある時期から統治者に高い能力や見識や倫理的インテグリティーを求めることをやめた。……それよりはむしろわかりやすい人気取り政策を行な…

生きること

『本の雑誌』8月号の特集『途中経過! コロナと出版』では、書店・取次・印刷会社・図書館・倉庫から編集者・ライター・校正者・装丁家などが、影響度を報告している。もっとも、写真家の奥山淳志は、「コロナ禍のようなもので人生観を変えなくていけないほ…

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