2016-11-01から1ヶ月間の記事一覧

振り返ることのできる時代

のほほんと生きていた主婦が、激しく非難の言葉をあらわにせざるを得なかった戦後。その瞬間をアニメとしての破綻ととらえるべきではない。叫ばずにはいられなかった時代をこそ、直視しなければならないのである。 いくら工夫しても、栄養や品物の不足は逃れ…

真剣映画

現実の棋士と勝負に負けてはいない。『聖の青春』(日本、森義隆)は、演出と演技が引き立つ作劇に徹している。 勝負には勝負を。手抜かりのなさが、全面から伝わってくる真剣映画だ。

失わないもの

山田太一のドラマ『五年目のひとり』(テレビ朝日)は、震災で家族を失い、いまだに立ち直れない男が、福島を出て東京のパン屋で働き、亡き娘そっくりの中学生と触れ合い、やり直しを決心するまでを描く。 忘却と強さばかりが優先される現在にあっても、山田…

香港映画の幅

貧しい家庭相手でわずか5人の園児だけの幼稚園。存続の危機に立たされた園の再生のため、エリート幼稚園出身の女性園長が病を押して、奮闘する。 『小さな園の大きな奇跡』(香港・中国、エイドリアン・クワン)は、実話がモチーフ。いわゆる熱血先生ものとか…

人間賛歌の言い訳

ずるくて、めめしい。『永い言い訳』(日本、西川美和)で本木雅弘が演じる作家は、浮気中に妻を失い、彼女の親友の遺族の前でも暴言をはいたりする卑小な人物。ところが、醜態を見せれば見せるほど、奥底の弱さ、不器用さが見えてくる。横暴にふるまいなが…

投稿空間

重要なのは柳田の「文学」=「民俗学」は、柳田個人が「文学」なり民俗学の論文を書くことが目的ではなく、誰もが近代の設計のために平易に使えるツールとしての言葉の技術をつくり、実践させていくことにあったということです。いわば柳田民俗学は、だれも…

物語の役割

現代演劇として遠野物語を選んだ劇団イキウメの前川知大は、テーマについて、強く語る。 遠野の話も、親や祖父母から聞いて、また誰かに話すという物語であり、口伝えの物語です。誰かから受け取って、誰かに渡すということが大事。だから、劇中でもそれを意…

感情への対抗

……たとえば安倍政権は、理性的な議論を忌避し、感情的な政治をおこなう。国民の現実にではなく「感情」に合わせて政策をカスタマイズすれば、不合理で自らに不利益しかもたらさない政策が支持される。(「大塚英志さんインタビュー「感情化する社会」の先に…

抵抗と創造

……社会生活を営むということは、自分の中に社会ができるということだから、書いている最中、その眼が「こんなものは小説と言わない」とつぶやいてくる。それは絶えず誰にでも、ぼくにもある。だけど、小説を書ける人には、自分が面白いと思うことをやり通せ…

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