2009-06-01から1ヶ月間の記事一覧

ついたての向こう

高橋 たとえば舞城(補・王太郎)さんの『好き好き大好き超愛している。』とか、あれは超リリックな恋愛小説なのにさ、何か不安なんだよね、読んでると。 斎藤 そうそう(笑)。 高橋 全部嘘みたいな気がしてくる。読めば読むほど、ついたての向こう側に誰も…

設定

宮藤 山田さんの『ありふれた奇跡』で、風間杜夫さんと岸部一徳さんが女装して街を歩くシーン。あれはパンクを感じました。 (中略) 山田 日常から逸脱しようとする、あがきみたいなものを書きたかったんですよね。でも大麻とかホモセクシュアルだと重すぎ…

作家性

「高利貸しの女を殺す貧乏学生の話は、新聞記者やジャーナリズム的技法の客観性にこだわる作家の手にかかれば大都市で起きるありふれた事件にしかならない。世間に似たような話はいくらでもある。だがドストエフスキーが手掛ければ結果はまったく違う」(エ…

防衛策

テレビ版『ハゲタカ』の鷲津は、敏腕な投資家として、非情さと人間味の両面を兼ね備えていた。 映画版(日本、大友啓史)では、日系の自動車メーカーを中国ファンドの買収策から防衛するために、宿敵・芝野と共闘。正義派に徹したために、悪人的な部分が影を…

精神

カメラに向けて話をしているときは、さほど異常性を感じさせない。ドキュメンタリー『精神』(米国・日本、想田和弘)の精神病患者たちだ。 ところが、人前に出ていないときに多量の薬を飲んだり、深夜などに激しく精神を変調させるという。元気そうに見えた…

フィクションの需要と供給

「前向きでハッピーな感じの作り話をいかに白けないで届けさせるかっていうのが、いちばん書き手として頑張ることのような気がしています。……わざわざフィクションを読まなくても、世の中ってたいへんだよねとか、人間って愚かだよねっていうのを、みんな知…

文学とことば

「いまもっとも、読まれていないものは、何か。文学書だ。そのなかでも読まれないのは、詩集、詩の本。詩とのかかわりがなくなってから、人の心が変わったのではないか。だからいまはむしろ詩が必要なのではないかと、考えることにしよう。詩を読むのはこと…

物語の誕生

「私の場合、最終話に限らず、ストーリーを考えるときには、頭から流れを決めていくのではなく、メインになる一枚絵を思い描いて、そのまわりをちょびちょび肉付けしていくんですね」(「荒川弘ロングインタビュー」『ダ・ヴィンチ』6月号) 点が線となり、…

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