2022-08-01から1ヶ月間の記事一覧

抑圧の記録

2019年、中国支配が進み、自由を奪われた香港で、若者を中心にした大規模なデモが起きた。非暴力の参加者に対し、警察は暴行を加え、参加者は監視対象になり、自由を奪われた。『時代革命』(香港、キウィ=チョウ)は、縦横無尽のカメラワークと、参加者へ…

絵と科学

絵を描く科学者。『かこさとし展 子どもたちに伝えたかったこと』(ザ・ミュージアム)には、科学者としての厳密な姿勢を貫きつつ、ユーモラスで親しみやすい本を作り続けた作家の絵が並んでいる。

教育のしっぺ返し

効果がすぐには見えないため、為政者に利用されやすく、もし実害があれば、将来、確実に国の基盤を脆弱にしかねないのが、教育である。『教育と愛国』(日本、斉加尚代)では、ある種の勢力が教育の現場に介入したり、教育関係者を翻弄する現象が、証言され…

カメラと感情

廃トンネルで暮らす母が、幼い娘と地上に出た。娘に生きていくことを望むならば、彼女を手放すしかなかった。『きっと地上には満天の星』(米国、セリーヌ・ヘルド&ローガン・ジョージ)は、地上に出るまでの娘と、地上に出てからの母との視点が、カメラの…

埋もれた開拓者

ただ映すだけではない、演出や編集の加えられた映画。劇映画の始祖、アリス・ギイの功績が再評価されたのは、後年の丹念な研究によるものだ。『映画はアリスから始める』(米国、パメラ・B・グリーン)では、彼女の公私にまたがる軌跡を証言や映像によって浮…

ジャンルの広がり

『特別展アリス ─へんてこりん、へんてこりんな世界─』(森アーツセンターギャラリー)に展示されるのは、原作に関する資料だけではない。『不思議の国のアリス』から派生した絵画、映像、ファッションなど、ジャンルの広がりを一望させ、長年にわたって世界…

戦後の痛み

銃撃戦や前線だけが、戦争の舞台ではない。『戦争と女の顔』(ロシア、カンテミール・バラーゴフ)は、PTSDをかかえる看護師と、帰還した慰安兵という二人の女が、傷心と向き合いながら、戦後の軍人病院で勤めを続けている。唯一の救いだった息子を失った女…

彼女に見える風景

世間からずれている少女そのものではなく、周りの家族だけが壊れていく。『こちらあみ子』(日本、森井勇佑)は、あみ子にしか見えないはずの風景が、文字ではなく、映像として、くっきり見える。

戦争の傷跡

命を助ける役目にある医師が、捕虜にされた後、拷問された同胞の安楽死に加担する。身柄を解放されても罪の意識が消えることはない。家族と過ごしていても、苦悩は深まるばかりだ。 非道な戦争の犠牲者といっても、傷跡は多様であり、『リフレクション』(ウ…

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