2022-10-01から1ヶ月間の記事一覧

美しいガラス

工芸品でありながら、芸術品でもある。自然を模した色や形。ガラス細工の作業は肉体労働だが、様々な工場や職人の技術を取り入れながら、発展し、受け継がれてきた。『イッタラ展』(ザ・ミュージアム)で披露されたグラスや皿は、一見シンプルでありながら、…

見捨てられた人たち

住み込みの仕事を失い、転職もままならず、帰るべき場所もなければ、路上生活をするしかない。女性の場合、安全な場の確保も、男性以上に気を遣う。体を洗ったり、生理用品の購入も必要だ。コロナ禍でも快適な場が保証された人々がいる一方で、見捨てられた…

人と自然

新国立美術館で開催された美術家、李禹煥(リ・ウファン)の回顧展。手間をかけて館内に敷き詰められた石など、素材そのものが、人と自然を超えるべく、思考を刺激する。

彼女の理由

刑務所上がりでまともな住まいも仕事もない。中年女が、離れて暮らす子どもに会うためには、規則を破るしかなかった。里親の家に押しかけたり、知人の家を自宅と偽ったり、児童福祉局に立てこもって、面会を要求したり……。孤高のヒロインではない。同性の中…

誰が殺したのか

第2次大戦下、解放者として、ウクライナの住民が歓迎したナチス・ドイツ軍は、大勢のユダヤ人を渓谷に集めた。爆発事故の首謀者として、虐殺するためだった。軍の撤退後、ソ連は、裁判後に関係者を群衆の前で絞首刑にする。『バビ・ヤール』(オランダ・ウク…

閉店まで

音楽好きが店を切り盛りし、音楽好きが買い物に来るレコード店。もっぱら大型店にないような曲を揃え、品ぞろえが通好みでも、偏屈さと無縁だ。店は2016年に閉じた。『アザー・ミュージック』(米国、プロマ・バスー、ロブ・ハッチ=ミラー)は、棚が撤去さ…

大新聞の今

『朝日新聞政治部』(講談社)では、同社の記者だった鮫島浩が、内部事情を克明に振り返る。同社に象徴される大手新聞社は、もはやジャーナリズムとしての役割を失いつつある。 もし公権力の監視から逸脱し、速報性にすぐれず、真相究明に専心するわけでもな…

平和でないとき

新聞記者の母が大統領の汚職を追求したことで命を狙われた少女は、ウクライナを去り、亡き父の故郷、スイスに渡った。国籍を移し、体操選手として、ナショナルチーム入りを目指すつもりだった。チーム内の確執は、解決したものの、祖国の惨事が気になって仕…

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