2015-11-01から1ヶ月間の記事一覧

人間らしさ

人間と動物、男と女。五反田団『pion』(アトリエヘリコプター)のすべてが一つの世界としてつながっているという発想は、前田司郎演劇の定番だ。 動物が人間に近づき、人間が動物に近づくことで、失うものもある。現在にのみ生きる動物は、過去や未来を交互…

報道の鑑識

報道は現場からどうしてもずれる。まず、世間がそれについて先から抱く観念のほうへ、また、世上の観念の方へ寄らなくては照し出せない実相もある。現場の人間ばかりがそこ現実をつかんでいるともいえない。…… 受けた報道を、想像力によって、また現場の方へ…

リストラの痛み

理不尽なリストラで失職した主婦たちが、スーパーの経営陣を相手に解雇撤回を求めて運動を開始。『明日へ』(韓国、プ・ジヨン)は、実在の事件がベースだという。 働き手それぞれの事情を考えれば、安易に人減らしをすべきではない。方策によって、業績が一…

交換

少女の一途さと、老女の知恵。『ハウルの動く城』(日本、宮崎駿)のソフィーは、魔法にかけられて肉体の若さを失うが、老いて内面を広げたからこそ、新たな出会いと可能性がもたらされる。 失う一方で、得る物。ハウルも、魔法の力は失うが、魂を取り戻すの…

アート映画

写真や、ぶれたような映像の挿入。家出少女と外国人運転手のほほえましい交流が裏切られる結末。 『わたしの名前は...』(フランス、アニエス・トゥルブレ)には、賛否両論あろうが、総合アートとしての映画作りの楽しみを再認識させる作品でもある。

国境の物語

国境沿いの廃船で暮らす少年のもとに、異国の侵入者がやってくる。 『ボーダレス ぼくの船の国境線』(イラン、 アミルホセイン・アスガリ )は、言葉の通じぬ者たちの緊張感ある交流を、言葉でなく、映像そのもので伝える。 寓意的であり、普遍的な物語であ…

高齢化の理想

『マイ・インターン』(米国、ナンシー・マイヤーズ)は、ベンチャー企業を経営するやり手の女をシニアインターンがサポートする。 仕事や家庭にふりまわされる彼女を支える老男性。経験に裏打ちされた余裕ぶりが頼もしい。 高齢化社会の理想像である。

半端さへの挑戦

幽霊に見えない幽霊の夫と、現世に生きている妻との最後の旅。 『岸辺の旅』(日本・フランス)は、黒沢清があえて中途半端な世界に徹した映画だが、はたして成功したのかどうか。

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