報道の鑑識

報道は現場からどうしてもずれる。まず、世間がそれについて先から抱く観念のほうへ、また、世上の観念の方へ寄らなくては照し出せない実相もある。現場の人間ばかりがそこ現実をつかんでいるともいえない。……
 受けた報道を、想像力によって、また現場の方へ押し戻しつつ眺める。なかなかむずかしいことだが、その癖が身につけば少々は見え方が違ってくる。(古井由吉『日や月や』福武書店

 報道は絶対的に正しいわけでもなく、絶対的に間違っているわけでもない。作意がなくても、誤差はある。
 的確な鑑識者は多くない。

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