2022-01-01から1ヶ月間の記事一覧

日本の政治

『香川一区』(日本、大島新)は、衆院選前後の小川淳也・議員の動向を追い、『なぜ君は総理大臣になれないのか』の続編にあたるドキュメントだ。同区で絶大な地盤を持つ平井卓也・大臣の落選と対比することで、家族やファン、声高でない人々の声を大事にす…

老練な目

70代から描き始めた絵が多くの人々に親しまれた画家。『グランマ・モーゼス展』(世田谷美術館)は、彼女の回顧展だ。人生を知り尽くしながら、遠くから眺める目は、柔らかい。感情をぶつけたり、奇異をてらうアートとは違う、味わいがある。

男たちの果て

やむにやまれぬ事情から、マニラのスラム街に移り住んだ高齢の日本人たち。『なれのはて』(日本、粂田剛)で記録された男たちは、近隣の人たちに助けられながらも、金銭は限られ、体も衰えて、決して安泰ではないが、そこにいるからこそ、味わえるような、…

タイトルのような仕上がり

演劇のような、短編小説のような……。ショートフィルム集『偶然と想像』(日本)の3編は、緊迫感と意外性を兼ね備えた佳編ぞろい。当人たちの思惑がすれ違い、想定外の展開に転じていくのは、ワークショップ型作風の強みでもあろう。

何かが彼を

『ダーク・ウォーターズ 巨大企業が恐れた男』(米国、トッド・ヘインズ)では、世界的メーカーの郊外隠ぺいを第一線の監督やキャストが映画として告白する。これができるのが、米国映画の懐の広さだ。 追い詰めるのは、エリート出ではない企業弁護士。彼が…

悪ふざけのようでいて

豪華キャストを揃えながら、B級映画風。彗星接近であたふたする政府や科学者の群像劇が悪ふざけのようでありながら、強烈な風刺になっている。抜け駆けして地球外に脱出した金持ち連中の結末はもちろん、SFコメディー『ドント・ルック・アップ』(米国、アダ…

理想の3人

たびたび衝突する兄弟。そのたびに仲を取り持つ妹。年を重ねても変わらない。それでも両親の墓参りには、揃って顔を出し、お互いの連絡はつづいている。『ローラとふたりの兄』(フランス、ジャン=ポール・ルーブ)の3人は、妙な距離感もなく、親密度の深さ…

人生の軌道

暴力的な夫から逃れ、赤ん坊と幸せに暮らしたいと願うジョイ。夫の仲間だったデイヴが理想のパートナーになるが、強盗で逮捕され、復縁した夫との仲も長続きはしない。 『夜空に星のあるように』(英国)は、ケン・ローチの長編第一作。階層と不器用さから、…

アクセスカウンター