2016-02-01から1ヶ月間の記事一覧

夢の効果

命綱なしで高層ビル間の綱渡りをするという無謀な試み。『ザ・ウォーク』(米国、ロバート・ゼメキス)は、実在の綱渡り師フィリップ・プティの挑戦を通じて、ワールド・トレード・センタービルの存在した時代のアメリカン・ドリームを再現する。 芸術家を自称…

人類の存続

『オデッセイ』(米国、リドリー・スコット)は、火星に取り残された宇宙飛行士が、無事帰還するまでのサバイバル劇だ。 制約の多い環境の下、最後まで知恵を振りしぼって、わずかなチャンスに望みを託す飛行士。彼を地球から支えるNASAの職員たち……。 宇宙…

ジョブズ的手法

『スティーブ・ジョブズ』(米国、ダニー・ボイル)は、プレゼン会場周辺のやり取りだけで、天才故の孤独と、公私のギャップという普遍的テーマを浮かび上がらせる。 斬新な手法の徹底こそ、ジョブズそのものでもある。

どこでも危険

不法移民の偽装家族が、身を守るために結束する。 内戦下のスリランカではなく、フランスでさえ、危険な居住地があるというのは皮肉だが、『ディーパンの闘い』(フランス、ジャック・オーディアール )は、当初がドキュメント風、途中から任侠風にトーンが…

物語まで

『キャロル』を生み出したインスピレーションは、作家がいかにしてささいな日常のエピソードから、必要なものだけを取り出して、その可能性に磨きをかけ、ついには見事な物語に昇華させていくかという典型的な見本といえるかもしれない。(パトリシア・ハイ…

子どもを奪われる理由

実子を拉致された親も、もらい子を奪い返された養親も、子どもを失ったときの悲しみに差はない。 『最愛の子』(中国・香港、ピーター・チャン)の悲劇は、一人っ子政策で出産が制限された国故に起きる出来事だ。

白鯨を超えて

『白鯨との闘い』(米国、ロン・ハワード)で巨大鯨に翻弄される船員の運命は、彼ら自身が定めたのではない。 海の犠牲になる者も、船会社から糾弾される者も、心は、もはや地上にない。彼らの体験は、人間同士の小さなうごめきを、とうに超越しているのだ。

弱者故に

社会的弱者が結集して、少女殺害事件の関係者に制裁を加える。 『殺されたミンジュ』(韓国)は、キム・ギドクものだけあって、すっきりした勧善懲悪とは遠い。 やり方は弱者故に不徹底で、詰めも甘い。メンバーの大半は、そのために失脚するが、顛末を見下…

アクセスカウンター