男たちの果て

 やむにやまれぬ事情から、マニラのスラム街に移り住んだ高齢の日本人たち。『なれのはて』(日本、粂田剛)で記録された男たちは、近隣の人たちに助けられながらも、金銭は限られ、体も衰えて、決して安泰ではないが、そこにいるからこそ、味わえるような、不思議な解放を感じさせる。彼らが日本に帰りたがらないのは、相応の理由があるのだ。

                 f:id:mukuku:20220116111601j:plain

 

タイトルのような仕上がり

 演劇のような、短編小説のような……。ショートフィルム集『偶然と想像』(日本)の3編は、緊迫感と意外性を兼ね備えた佳編ぞろい。当人たちの思惑がすれ違い、想定外の展開に転じていくのは、ワークショップ型作風の強みでもあろう。

                  

       f:id:mukuku:20220116111812j:plain

 

 

何かが彼を

ダーク・ウォーターズ 巨大企業が恐れた男』(米国、トッド・ヘインズ)では、世界的メーカーの郊外隠ぺいを第一線の監督やキャストが映画として告白する。これができるのが、米国映画の懐の広さだ。

 追い詰めるのは、エリート出ではない企業弁護士。彼が、金銭的、あるいは精神的に得るものは、薄いかもしれない。それでも使命を全うしようと、彼が息長い戦いに打ち込むのも、人間らしさと言えようか。

      f:id:mukuku:20220116112120j:plain

 

悪ふざけのようでいて

   豪華キャストを揃えながら、B級映画風。彗星接近であたふたする政府や科学者の群像劇が悪ふざけのようでありながら、強烈な風刺になっている。抜け駆けして地球外に脱出した金持ち連中の結末はもちろん、SFコメディー『ドント・ルック・アップ』(米国、アダム・マッケイ)の根底にあるまじめさは、侮れない。

                  f:id:mukuku:20220115135447j:plain

 

理想の3人

 たびたび衝突する兄弟。そのたびに仲を取り持つ妹。年を重ねても変わらない。それでも両親の墓参りには、揃って顔を出し、お互いの連絡はつづいている。『ローラとふたりの兄』(フランス、ジャン=ポール・ルーブ)の3人は、妙な距離感もなく、親密度の深さという点では、理想の関係と言えなくもない。

      f:id:mukuku:20220102112118j:plain

 

人生の軌道

 暴力的な夫から逃れ、赤ん坊と幸せに暮らしたいと願うジョイ。夫の仲間だったデイヴが理想のパートナーになるが、強盗で逮捕され、復縁した夫との仲も長続きはしない。

『夜空に星のあるように』(英国)は、ケン・ローチの長編第一作。階層と不器用さから、人生の軌道がずれていく人々を描く姿勢は、当時から一貫している。

      f:id:mukuku:20220102111957j:plain

 

アクセスカウンター