2019-06-01から1ヶ月間の記事一覧

CDの味わい

『aikoの詩。』は、デビュー以来の全シングル38曲に加え、カップリング曲4曲を交えたコレクション。盛り込まれた技巧に加え、配列の妙により、何度聞いて飽きさせない。パッケージや編集の充実感は、CDならではだろう。

一夜の哀感

『ハーツ・ビート・ラウド たびだちのうた』(米国、ブレット・ヘイリー)は、閉店間際のレコード店主が、一夜だけのライブを娘と奏でる。医大を目指す同性愛者の娘は、心身ともにもう成熟しており、かつてミュージシャンだった父親の夢と挫折にこそ、哀感が…

そそる書評

どの小説も面白そうで、読書欲をそそられる。 『小説という毒を浴びる』(集英社)は、幅広い読書家として知られる桜庭一樹の小説書評集。作者の小説よりも、書評の方がはるかに巧みだ。

夢の裏側

役者がそろう。作品の質もいい。固定ファンもいるし、動画配信などにも対応している。 震災以降、動員数が減ったと言われるが、それでも他の劇団と比べて、稼ぐ要素に欠けているとは思えない演劇集団「キャラメルボックス」が活動休止に追い込まれたのは、運…

レトロな心地

「ハルレオ」は、女性二人のユニット。インディーズ音楽の人気者だが、方向の違いから解散を決意し、最後のツアーに出る。『さよならくちびる』(日本、塩田明彦)は、現代でありながらレトロな物語だが、ライブ風景にも音楽にも、レトロゆえに楽しめる心地…

人生はシーソー

聡明だった父の衰えと見守る家族。『長いお別れ』(日本、中野量太)は、父が記憶を失っていく一方で、行きずまっていた妻子の私生活が開けていく。人生はシーソーのようなバランスで、できている。

幻想スケッチ

どんな街にも風景があり、物語がある。『嵐電』(日本、鈴木卓爾)は、幽霊がいなくても成立する映画だろうが、路面電車を利用する人々の柔和な幻想スケッチである。

どこかの物語

浮世絵をも取り入れたトーベ・ヤンソンの原画。ムーミンは、どこかの国ではないが、どこかの国でもある物語だ。

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