2015-02-01から1ヶ月間の記事一覧

言葉の持続

「汝自身を知れ」というと簡単なようだが、実は自分を理解することさえ永久にできない。まして他人を理解することは絶対にできない。言葉によって伝達できるということには限界がある。というよりも、絶対言葉によっては伝わらないというものがあります。そ…

永遠のガールズ・ライフ

放置されているうちに移ろいゆく事象と、見つめる少女の成長。岡崎京子は、小学性時代の作文で、すでに時代を達観していた。 『岡崎京子展 戦場のガールズ・ライフ』(世田谷文学館)では、岡崎の原画やスケッチが展示され、時代に密着しつつ、未来を予測し…

音楽の魔力

『はじまりのうた』(米国、ジョン・カーニー)では、レコード会社を首になったプロデューサーが、英国から訪れた女をボーカルに据え、アルバム制作を断行。資金不足のため、ニューヨークの街がスタジオ代わり。混成バンドの奔放で繊細なメロディーを収録す…

民族協調

戦前、高校野球では台湾代表も出場し、農地の弱小チームがまたまたくまに甲子園で活躍する。 『KANO 1931海の向こうの甲子園』(台湾、マー・ジーシアン)は、野球経験者を役者にそろえての迫力ある試合もさることながら、台湾人・原住民・日本人の3民族が結…

おみおくりする人

『おみおくりの作法』(英国・イタリア、ウベルト・パゾリーニ)では、孤独死専門の民生係が、死者の人生に合わせた弔辞を読み、かかわった者を探し当てて、葬式を手配する。 実在する職務だ。人が死を迎え、残された者に記憶を伝えるまでが一生だとすれば、…

ローカルな物語

どこまでがフィクションで、どこまでがドキュメンタリーか。 『山田孝之の東京都北区赤羽』(テレビ東京)は、役者としての自分を取り戻すため、ご当地マンガに感銘を受けて赤羽に移り住んだ俳優・山田孝之の地元生活を映画監督の山下敦弘が追い、ドキュメン…

文芸誌の役割

後発文芸誌『文藝』の編集長として、同誌の最盛期に尽力した寺田博が、『文芸誌編集後記』(河出書房新社)で当時を回顧する。 作家とのかかわりが時代に密着していた時代。吉本隆明、三島由紀夫らとのかかわりも興味深いが、巻末の対談(相手は初代編集長の…

才能の選択

絵を商売としか考えていない夫と違い、妻は絵が人格そのものだった。ゴーストぺインターとして、娘にも内緒で夫の代わりに絵を描き続け、大人気になったマーガレット・キーンは、ある日のラジオ放送で、真実を明らかにする。 『ビック・アイズ』(米国、ティ…

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