文芸誌の役割


 後発文芸誌『文藝』の編集長として、同誌の最盛期に尽力した寺田博が、『文芸誌編集後記』(河出書房新社)で当時を回顧する。
 作家とのかかわりが時代に密着していた時代。吉本隆明三島由紀夫らとのかかわりも興味深いが、巻末の対談(相手は初代編集長の坂本一亀)で挙げた同誌の役割は、形こそ変わるにせよ、寺田が語るように、現代でも有効な行為だろう。

……第一に新人発掘というのがあった。それから第二に他分野の知的領域からの参加を求めた。第三に外国文学の摂取、吸収があった。第四にジャンルを超えた摂取、吸収、詩とか戯曲とかを重視した。第五に地方に目を配るということについて、非常に積極的であったというようなことが数えあげられますね。 

アクセスカウンター