2020-02-01から1ヶ月間の記事一覧

異様な健全さ

グローバル化のリスクは、一つの疫病や経済危機が世界全体を揺るがすことにある。完全なる同化を防ぐには、少数社会の慣習や価値観を守るのが健全な行為であろう。たとえそれらが、文明国にとって、奇異に見えたとしても。 都市の人間たちが、奥地の村で異様…

悲愴な腐臭

『屋根裏の殺人鬼フリッツ・ホンカ』(ドイツ・フランス、ファティ・アキン)が焦点に据えるのは、実在の殺人犯の生い立ちではない。中年になった彼の日常と、かかわった女たちの人生を通じて、敗戦後のドイツの哀切をえぐりとっている。 時代がどう移ろうと…

助ける側

『淪落の人』(香港、オリバー・チャン)の中年男は、事故で半身不随になった。家族と別れ、部屋で保証金暮らしだ。 彼が異国人の家政婦と交流するだけの前半よりも、写真家になりたいという家政婦の夢をかなえられるよう、彼が奔走する後半のほうが、よほど…

多国籍化する国で

青年団の代表作を韓国・タイ・フィリピン・台湾・米国・ウズベキスタンという他国の俳優を交えて上演する『東京ノート・インターナショナルバージョン』(吉祥寺シアター)は、ヨーロッパで戦争が起きる中、フェルメールの絵が展示された日本の美術館の控室…

愛を受け止める場

『男と女 人生最良の日々』(フランス、クロード・ルルーシュ)は、第1作とは別の洗練された味わいがある。老いた二人が再会し、若かりし頃の情愛を思い返しながら、現在の時間を楽しむ。今ではベンチで会話をかわしたり、車に乗ったりするぐらいで、突飛な…

監督としてのドンキ・ホーテ

『テリー・ギリアムのドン・キホーテ』(スペイン・ベルギー・フランス・イギリス・ポルトガル、テリー・ギリアム)は、CM監督がドン・キホーテ役の老人に振り回されるという設定だ。映画として成功したかどうかは問うまい。資金にも運にも見放され、何度も…

記録が生む

記録フィルムが残っていれば、技術の進歩に伴い、いつか復元し、有効活用できる。『彼らは生きていた』(英国、ピーター・ジャクソン)は、スタッフの熱意と高度な修復機能によって生まれた戦争と人間の再現である。無邪気な若者たちが第一次大戦の戦地で味…

進行形であるために

長期的に活躍しつつ、トップでいることは並大抵のことではできない。様々なアーティストやスタッフと組みつつ、表現法も変化させる必要がある。こうして生まれた作品群も、集めたものをただ並べ立てるだけでは、それ以上の価値を生み出せないが、音質を整え…

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