2014-08-01から1ヶ月間の記事一覧

ありふれていない物語

親しげに見えた女たちの奥底に潜む憎悪。『FORMA』(日本、坂本あゆみ)は、徹底してリアルな日常が、異様な転機によって、救いがたい結末をもたらす。 場面の反復も、視点の急転も、揺動する世界を描くための必然的技法だった。 ありそうで、ありえない。あ…

強者の生き様

リゾートマンション経営の大富豪から一転し、窮乏生活に陥った夫婦。 『クイーン・オブ・ベルサイユ 大富豪の華麗なる転落』(米国・オランダ・英国・デンマーク、ローレン・グリーンフィールド)は、彼らの紆余曲折を記録している。 リーマンショックで突然…

翻弄する技術

三人の男を一人の女子学生が振り回す。『ソニはご機嫌ななめ』(韓国、ホン・サンス)の設定はシンプルだが、軽妙な会話と計算し尽くされた技巧で、観客をも翻弄する。

先進国の格差

大国の住民でさえ、稼ぎが少ないと、家族を養うだけの食費は確保できない。「米国に広がる新たな飢餓」(『ナショナルジオグラフィック』8月号)では、定職があっても、政府のわずかな扶助だけでは満足に食事をとれない人々の現実が報告されている。 空腹を…

島の子どもたち

のどかな島で動物と共存する子どもたち。うさぎを殺した狐を逃がし、世話したアザラシも海に返す。 島には俗っぽい大人もいるが、子どもを見守る大人もいる。 日本では劇場初公開の『なまいきチョルベンと水夫さん』(スウェーデン、オッレ・ヘルボム)は、1…

寓話と神話

寓話と神話との違いは何か? 寓話は継承の組み替えというレベルで完結してしまうが、神話は人の心の「元型」に結びついている。寓話は頭で理解するものだが、元型は心をすっぽりとあてはめるものである。そこには理解を必要とされない。……チャンドラーの作品…

歴史の普遍性

日本国憲法の歴史は、まだ半世紀に及ばない。これが「伝統」になるかどうかは、今後の問題である。もしなれば、日本でも伝統的原則の普遍性について語ることができるだろう。もしなれば、日本でも伝統的原則の普遍性について語ることができるだろう。もしな…

失敗という素材

信頼する恩人でもあるので、「自分で映画を撮ったり出演したりする依頼がきているんですけど、作家がそんなことをしてもいいのでしょうか?」と相談したの。すると伊藤さんは、「何を言うの、石原くん。君は今とってもおもしろいところにいるんだよ。何をや…

ゴジラと外交

同時多発テロ。東日本大震災。 『GODZILLA』(米国、ギャレス・エドワーズ)は、日米結束の誘因を挙げつつ、怪獣に襲撃される被災地として、中華街をクローズアップしている。 両国の関係維持に、中国の存在を欠かすことはできないのだ。

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