2013-02-01から1ヶ月間の記事一覧

言語と対象

高村 基本的に言語というのは、自分が知らないこと、あるいは理解できないこと、捉えられないことへ向かっていくのだと思います。わかっているものはわざわざ言語化する必要がない。私たちが言葉を使って何かを言い当てようとするのは、目の前にあるものが的…

政治と文学

「政治と文学」のあたらしい関係性を記述できるのは、つねに目に見えるもの=政治の側ではなく、目に見えないもの=文学(文化)の側なのだと僕は信じている。(宇野常寛「THE SHOW MUST GO ON」『ダ・ヴィンチ』3月号) そこまで文学を信じるだけの明確な根拠…

自力

家を流され、息子を失い、自治体の復興計画は進まず……。 祖先の代から住む土地で生きるには、人に頼ることなく、自力で復興するしかない。『先祖になる』(日本、池谷薫)では77歳の老人が、自力で家を建てる。病を抱え、残り時間は少ない。安全のため、妻と離…

なぜ撮るか

自殺した妻の写真を反復しては、作品として提示する古屋誠一。彼と対話し、内面を追う小林紀晴。 両者とも被写体を利用することのやましさから、逃れることはない。なぜ撮るのか。なにを撮るべきか。 『メモワール 写真家・古屋誠一との二〇年』(集英社)で繰…

希望の芽

湖畔にレストランを開いて、シングルマザーの恋人と共に働く男。ところが、資金調達に失敗し、店を始めるどころか、借金に追われ、彼女とは離れ離れになり、預かった子どもの世話に追われる日々。 『より良き人生』(フランス・カナダ、セドリック・カーン)…

物語を作る

どんな物語も、すべてがフィクションであることはない。架空の人物でも人のきちんとした息づかい、息吹を感じさせるのが、作品を作るということではないでしょうか。(富野由悠季「インタビュー ガンダムの警鐘」『朝日新聞』8日朝刊) 物語は虚構であるから…

越境

情景は過去のようにも見えるが、現代である。3人の孤児たちが放浪。国境を超え、夢見た地にたどりつく。けれども、大人の管理する世界は、冷たかった……。 野性児のような少年たち。『明日の空の向こうに』(ポーランド・日本、ドロタ=ケンジェジャフスカ)…

過去と今

ミュージシャンのGOMAは、自動車事故によって記憶の大半を奪われてしまった。 日記を付けなければ、過ぎたことは消えてしまう。 だが、演奏の仕方は覚えている。絵も描ける。言葉も話せる。 残された能力を活かし、家族や音楽仲間に支えられ、再びライブ…

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