2007-08-01から1ヶ月間の記事一覧

成功ってなに?

団塊世代の人々は、競争好き。それを押し付けることにも熱心だ。『サラリーマン インタビュー編』(8月27日から日経新聞の朝刊に連載)が興味深い。 「今の若い人に会社での出世はどう映るのだろう。……自分の幸せ、目の前の風景以外に興味がないということに…

クッション

女が電車の座席で居眠りし、横の男にもたれかかっていた。 駅に着き、男が席を立った。女の体が傾く。端の手すりにぶつかりそうになった。金属だから頭をぶつけたら、けがするだろう。 すんでの所で、別の男が座った。男の肩には女の頭が乗っかっていた。 女…

選別の時代

ファミリーレストランで女たちが会話していた。 「こども、どっちがいい?」 「男の子がいいな」 「女の子が産まれたら?」 「うーん、ポストに入れたい」 冗談なのか、本気なのか……。

雨上がりの夜

でっぷりと太った男が、自販機にタバコを詰め始めた。 付いてきた猫は、退屈したのか、気持ちがいいのか。男の足元で丸くなり、やがて眠った。

夕焼け

アニメ映画『河童のクゥと夏休み』(日本、原恵一)の少年は、河童のクゥを宅急便で沖縄に配送する。コンビニの店員に宅配の箱を渡したあと、店の外に座る。クゥが去るのを見届けようと、配達車を待つ。 やがて、道路の向こうの空が赤くなる。夕焼けだ。 車…

姿

ちばあきおの漫画『キャプテン』(集英社文庫)の主人公、谷口タカオは、野球少年としては落ちこぼれだった。 名門の中学野球部にいたものの、二軍で補欠。野球をのびのび楽しもうと転校するが、名門のレギュラーだったと部員に誤解され、過度に期待される。…

勝利よりも…

「少年ジャンプ」といえば、「友情」「努力」「勝利」が三大原則のように受け止められてきた。初代編集長がアンケートで子どもたちに好きな言葉を聞くと上位にあがったのがこれらの言葉だった。(朝日新聞8日朝刊・中村真理子『消えた「男の子」』〈2〉) 現…

曲がり角

「男の曲がり角」について、ライオン(本社・東京)がインターネットで調査した。 「男の曲がり角」は何歳か、体力、外見、精神面についてサラリーマンの意見を聞いたところ、平均年齢は35歳だった。すでに20代でも7割が曲がり角を感じていた。……曲がり角と…

現場報告

いつでも更新できるネットは「感情的なメディア」だと感じます。飛行機に乗り遅れそうなときに、走りながらその様子を書く。人をなぐりたい、と思ったときの気持ちもそのまま。感情の揺れを表現できる点が良いですね。(日本経済新聞13日夕刊『ちょっとデジタ…

記憶の継承

映画『天然コケッコー』の脚本を担当した渡辺あやは、原作者くらもちふさこの大ファンだった。その思いをプログラムに綴っている。 最高にすてきなことは、最悪に退屈な自分の日常のすぐ隣にひそんでいるのかもしれない、と想像してみる練習を、私はくらもち…

絶対者

先ごろ死去した小田実の言説を佐高信が紹介している。 小田は「不安定と絶対者がないことが結びつくとき、そこにもう一つ、繁栄から取り残されていくという状況が結びつくとき、人は新しい絶対者を待望するのだろう」と指摘している(『週刊金曜日』10・17日…

観察者

セミは意外な場所に止まっている。網戸、壁、物干し竿……。声をたどりながら、居場所を見つけるのは楽しい。 相手が野生のコアラとなると、慣れた人でも見つけるのが大変らしい。 コアラを探してユーカリの林を歩いていると首が痛くなるほど見上げ続けなけれ…

生命の価値

亡き叔父が特攻隊員だったことを知った日系2世のリサ=モリモト監督が、当時の隊員を訪ね歩く。『TOKKO 特攻』(米国・日本)は、狂信的な指令で死の恐怖を味わい、仲間を失った元特攻隊員の証言録だ。生存者の温和な口調から伝えられるのは、戦争の不…

幻の司馬作品

『街道をゆく』の編集担当者に、司馬遼太郎が編集記者時代の苦労を語っている。(朝日新聞4日夕刊『街道をついてゆく』村井重俊) もともと産経新聞記者の司馬さんは、文化部時代にある作家の原稿をもらうことにずいぶん苦労したという。 「ひどいときは、つ…

空気

画家の大竹伸朗がエッセイで記している(日本経済新聞7月31日夕刊)。 「今時の女子高生の間で使われている『KY』って何のことだか知ってます?」 唐突に知り合いの四十前の男に聞かれた。…… 「正解は゛空気読めない゛の略らしいです。ちなみに゛空気読め…

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