成功ってなに?

mukuku2007-08-29

 団塊世代の人々は、競争好き。それを押し付けることにも熱心だ。『サラリーマン インタビュー編』(8月27日から日経新聞の朝刊に連載)が興味深い。
「今の若い人に会社での出世はどう映るのだろう。……自分の幸せ、目の前の風景以外に興味がないということになれば、『出世なんてしなくてもいいよ』となってしまう。向上心がないと人間は偉くなれない。現状満足型だったらもう終わってしまう。それが豊かさのなかで育ったことの怖さだ」(漫画家・弘兼憲史、1947年生まれ)
 出世のためにすべてを犠牲にしてなにを得るのか。現代の若者がさめているのは、その空虚さを知るからだが、弘兼氏は、そんな疑いを持ったことがないのだろう。向上心を持つことと会社人間になることは別次元のもの。それを混同してしまうのが、団塊世代の男の特徴なのかもしれない。
ナンバーワンよりオンリーワンなんて、最近はそんなごまかしを言うようだけど冗談じゃない。おれたちが教えられたのは、やるんならトップを取れ、ということ。……社会や家庭に、規範へのわきまえを諭す教育力がなくなった。今こそ、これを取り戻さないといけない。……リタイアする団塊もいろんな能力やノウハウを蓄積している以上、社会へもう一度何かが残せるはず」(作家・山本一力、1948年生まれ)
 社会や家庭の中だけでなく、リタイアのあとでさえ、主導権を取ろうとする。彼らは、楽しさとか、安らぎといったものに関心がない。とにかく見栄を張ることに熱心だ。周囲の者にとっては、うっとうしくもある。
 トップを取りたいかどうかは個人の問題だ。他人に押し付けるものではないだろう。
「豊かな人生とは何なのかを一度立ち止まって考えてもいいのではないか」と、作家・落合恵子(1945年生まれ)は語る。
「日本の豊かさとは『より多く、より早く、より大きく』だった。ほかの人が階段を一段ずつ上るなら、自分は三段跳びで上っていこうという人は女性にも男性にもいる。『人生における成功って本当にそれだけなのですか』と問いかけたい」

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