2011-06-01から1ヶ月間の記事一覧

三人の密室劇

室内がほとんど。しかも登場人物は三人だけ。 場面転換の醍醐味を封印して映画を成功させるのは難しいが、『アリス・クリードの失踪』(英国、J・ブレイクソン )は、及第点と言っていい。 刑務所仲間の男二人が金持ち娘を誘拐して大金をせしめようとする。…

奇跡のような

両親の離婚で鹿児島と福岡に離れて暮らす小学生の兄弟が、電車に乗って再会し、開通したての九州新幹線を見る。 『奇跡』(日本、是枝裕和)は、子どもたちが生き生きと描かれているばかりではない。彼らを取り巻く大人たちも、過不足なくとらえられている。…

本当の気持ち

果たしてネットに公開する文章で人は「本当の気持ち」みたいなもの(書いててすごくロマンティックな気持ちになるね)を書くことってできるのかな? 閉じられたノート、どこにも接続されていない場所にしか生息できない成分がもしかしたらやっぱりあるのじゃ…

パーソナリティー

橋本 『桃尻娘』を書くときに、こっちが二十七、八じゃないですか。主人公は十五だったでしょう。何が違うかというと、男と女が違うと考える前に、彼女は俺より十二年若いんだ。とすると、俺が知っている十二年分、彼女が知らないんだな。そういう引き算をし…

嘘のリアリティ

「嘘八百のリアリティ」のポイントは、作中の設定やキャラクターの感情といった要素に、どこか現実と接点のある部分をつくっておくことだ。 そして、その「現実の接点」として、家族という要素は非常に大きな役割を果たしている。 (富野由悠季『「ガンダム…

都市

最近私が思うのは、゙正体性゙にも゙同一性゙にも、あまり縛られないほうがいいんではないかと。なぜなら人間には、いくつもの゙顔゙があって当然だし、同一性にこだわると、実は非常に窮屈で、なにか金縛りにあったようになってしまうからです。 ……「都市は人間を…

いい写真

「プラハ侵攻1968」などで知られる写真家のジョセフ・クーデルカは、語っている。 「アート系、報道系といった区別は意味がない。写真はあくまで写真。私は、ジャーナリズムを追求しすぎて一つのメッセージに陥ることを危険視します」 「写真には2通りしかな…

社会派

「演劇もメディアの一つ。マスメディアからこぼれおちるものを描けるのではないかと思う」と語るのは劇作家・演出家の坂手洋二。……時事的なテーマを取り上げることが多いため社会派演劇などといわれるが、「社会派というと少し差別的に響く。欧米では社会派…

想定内

今回の大震災や原発事故は以前からありうることだと思っていた。なぜなら自然にも人間にも想定外はないからだ。 (丸山健二「自己を律し行き抜け」『日本経済新聞』1日夕刊) 危険性をかかえながら、平穏でいられるのは、偶然にすぎない。

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