2009-07-01から1ヶ月間の記事一覧

食欲の奥底

肥満の要因が暴食であるにせよ、彼女たちは、いつまでも食欲を我慢できるわけではない。暴食をもたらした根本の原因は内面に潜んでおり、成長時の家庭環境が大きくかかわっている。 かくして、映像監督の関口祐加が自身のダイエットを記録した『THE ダイエッ…

選択

テレビ版エヴァの最終回では、体験する世界を自分で選択できることを主人公のシンジが言い渡される。 同様に、エヴァのストーリー自体、何通りもの作成が可能だ。『ヱヴァンゲリヲン新劇場版:破』(日本)も、その一つである。 しかし、同じ作品にばかり、…

偽装問題

これまで慕っていた医者の正体が偽者であるとわかった途端、村人の態度が急変する。あいつは元から怪しかったなどと、悪く言う。 利用価値がある限り、本物であり、無くなれば、偽物である。騒ぎになるのは、ブランド価値が無くなるからにすぎない。 『ディ…

反復

「20代の終わりにデ・キリコの作品と出合って『僕の性格を表している』と思った。彼は同じモチーフを反復しながらもいろいろな技術を導入して、万華鏡のごとく拡張していったんです」(横尾忠則談「1冊の本が、僕たちの人生を動かした。」『Pen』8月1…

男の決着

かつてスターレスラーだった男も、年をとった。肉体に不安をかかえ、一度は引退。名誉挽回のため、リングに復帰する。唯一誇れるのはリングの上だけだからだ。 ミッキー・ローク主演の『レスラー』(米国、ダーレン・アロノフスキー)は、熟年男性ならではの…

文字を読む

文字の読めるのが当たり前という認識が、日本の老若男女にはある。 『愛を読む人』(米国・ドイツ、スティーブン・ダルドリー)の女は、知識水準が低いわけではないが、文盲だった。その事実を隠すことで、受刑者にならざるをえなくなる。 彼女は名作文学を…

文化の根底

「今世紀の日本文化の根底を見きわめようとすると、われわれ自身において内面化された日本近代史の二つの条件、東北アジアの伝統と西洋の近代に出会う」(『加藤周一セレクション2 日本文学の変化と持続』99年、平凡社ライブラリー) 国内の文化を検証する…

価値

「周りの人はバンバン捨ててたんですが、僕はもったいないなと思ってとっておいたんです。そしたらある時、たまった紙がキレイなものに思えてきて。デザインの素材でもつくろうかなと、ちぎって並べてみたんです」(引地渉・談『イラストノート』№9) 他人が…

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