2011-07-01から1ヶ月間の記事一覧

世界の映し方

ドキュメンタリーに関しては、世間一般で行われているように、計画的に作ることに強い違和感を抱いてきた。綿密に計画を立てて失敗を回避しようとすればするほど、逆に失敗する、つまり作品がつまらなくなるのではないかと感じ続けてきた。なぜならドキュメ…

タブー

社会はルールや慣習を作り、個人にタブーを押しつけてくるのですが、自分の生き方をそこに合わせても、与えられた命を使い切ったことにはならない。(「草間彌生が語る仕事」『朝日新聞』24日) 個人の内部にタブーはない。 何をなしとげるかということにも。

どこまでが真実?

才能もないハッタリ屋と思われた自称映像作家が、金に物を言わせて、人をかき集め、著名アーティストを動員して宣伝し、既成画家のコピーをいじっただけのような作品を大量に掲げ、初の個展で、一夜にして、売れっ子アーティストになってしまう。 『イグジッ…

坂道

1960年代を舞台にした父の脚本を息子が演出したアニメ『コクリコ坂から』(日本、宮崎吾朗)。 建物の取り壊しや父親の正体をめぐって、高校生の男女が葛藤するものの、すべてが、あっさり片付いてしまう。 「古くなったから壊すというなら君たちの頭こそ打…

森の創造

森を創るのは、短時間ではできない。 木が根付くまで、多くの実を埋めなければならない。 男は、それでも埋める。生命の源は、持続力なのだ。 やがて、木が根付く。たくさんの木が茂る。 森の誕生は、人の心も変える。 『木を植えた男』(カナダ、フレデリッ…

世界の実態

敵か味方か。不義か正義か。 劇場版『鋼の錬金術師 嘆きの丘(ミロス)の聖なる星』(日本、村田和也)のキャラクターや民族は、区別がつけにくい。 だが、混然とした状態こそが、世界の実態なのだ。

いつもどこかで

世界のどこかで、いつも何かが起きている。災害も抑圧も、特別なことではない。 そのことに気付けば、一国のある事件にも、過剰反応することはなくなるだろう。 『世界報道写真展2011』(都写真美術館)では、ハイチでの大震災や、バンコクでの反政府暴動な…

読者設定

『村上ラヂオ』は20代の女性向け雑誌『アンアン』に連載されたエッセイ集だが、執筆者の村上春樹は、その種の読者層についての知識を持ち合わせていなかった。 だから面倒なことは抜きにして、とにかく自分の書きたいことを書きたいように書く、それだけを心…

死者を囲んで

井戸掘り職人だった祖父の法事。孫たちが集い、座敷で語り合う。 弘前劇場の代表作『家には高い木があった』(下北沢、ザ・スズナリ)。国内では7年ぶりの再演だ。 過去の公演時よりも、孫たちの年齢が高めに設定されている。死を遠景にしつつも、中年のわい…

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