2018-06-01から1ヶ月間の記事一覧

人間画

植物であれ、風景であれ、すべて人間として、描くこともできるのだ。

死の痛み

寝台に横たわり、病の痛みに苦しめられ、衰弱して食欲さえないまま、死を待つ国王。絵画的映像で18世紀初頭をよみがえらせた『ルイ14世の死』(フランス・ポルトガル・スペイン、アルベルト・セラ)は、死の肉体的苦痛を知らしめる歴史映画だ。

歳月

青年期のやんちゃぶりは、完全に消えるわけでもないし、消す必要もない。奔放さが残っているからこそ、積極的に行動したり、痛みや味わいを反すうできるのだ。 『30年後の同窓会』(米国、リチャード・リンクレイター)は、再会した3人が、旅を通じて、半生を…

家族はつらい

『妻よ薔薇のように 家族はつらいよIII』(日本、山田洋次)の亭主関白と主婦意識自体、やや時代がかって見えるが、設定よりも少し上の世代であれば、ありえた話なのであろう。 ともかく、寅さん的な独り者でも、家族を持っても、家族的なものとの付き合いは、…

演劇の自由

時事ネタあり、チェルフィッチュのパロディーあり、激しい乱痴気騒ぎあり。『日本文学盛衰史』(吉祥寺シアター)は、いつもの青年団の演劇とは、やや毛色を異にする。高橋源一郎の原作小説を踏襲しつつ、平田オリザの冒険心を解放した異色劇だ。 脚本・演出の…

人体

仮想空間が普及しても、身体性が軽視されるわけではない。 『特別展「人体―神秘への挑戦―』(国立科学博物館)の異様な混雑ぶりが、体の構造や不思議さに対する関心の高さを証明している。

愛の支配

『ファントム・スレッド』(米国、ポール・トーマス・アンダーソン)は、孤高のデザイナー、レイノルズが、たまたま迎え入れた年少の女に翻弄され、愛情に隷属するまでを、冷徹かつ、華麗に描いている。 支配した者が、支配される。レイノルズにとっての幸福は…

分類から遠く離れて

私は右翼左翼という文類を無駄だと思っている。ネトウヨという名付けも使わない。自分も他人も分類せず、まっすぐに議論することこそが面白い。(田中優子「風圧はこれから強くなる」――『週刊金曜日』6月1日号) 集団埋没して、ものを言う。特定の観念に縛ら…

おばあちゃんらしさ

五反田団『うん、さようなら』(アトリエリコプター)は、女優たちが、老人風のメイクをするわけではなく、素のままで老人たちのすったもんだを見せる。 おばあちゃんも女子高生も、本質は変わりない。違いは、体の動きだけなのだ。

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