2016-04-01から1ヶ月間の記事一覧

下り坂の希望

無理な成長神話にしがみつかず、成熟社会をいかに機能させるか。 平田オリザ『下り坂をそろそろと下る』(講談社現代新書)は、コミュニケーションとコミュニティの有効なデザインを提言している。 下り坂であることを認めず、成長路線の復活に終始しがちな…

セカンドキャリア

現役時代、もてはやされたスター選手も、引退後に失敗すれば、スポーツバカとして、周囲に攻撃される。格差社会のうっぷん晴らしとして、標的にされるのだ。 第2の人生を充実させるには、個人の意識と社会の仕組みをうまくかみ合わせる必要がある。 特集「…

密室の外

変質的な男によって7年監禁された母と娘が隔離部屋を脱出するという『ルーム』(アイルランド・カナダ、レニー・アブラハムソン)は、いわゆる猟奇サスペンスではない。 密室から出た母子が、家族ら他人との触れ合いによって、トラウマから解放されるまでを…

人生のプロセス

鷲田 介護問題とか高齢者問題とかよく言うけれど、そもそもこれらは「問題」なんかじゃない。正解がない中で、どう介護し、どう育てるか、という課題なんです。「課題」はプロセスに問いのすべてがある。(鷲田清一×大澤正幸「人生の意味」『群像』4月号) …

残酷で優しい

『リップヴァンウィンクルの花嫁』(日本、岩井俊二)は、いくつもの名前をキーワードにしつつ、金と情、嘘と真の反転を静謐な映像で綴っている。 結婚の破たん、怪しげなバイト、知り合った女優との悲恋……。 悪気はないのにどん底まで堕ちていく女教師も、…

世界の緊張

他人を心底信じることはない。憎しみが情けに逆転するわけでもない。 『続・夕陽のガンマン 地獄の決斗』(イタリア、セルジオ・レオーネ)は、腹に一物ある3人の男たちが、墓に隠された大金を探して、南北戦争時代の荒野をさすらう。 常に緊張感のある者同…

居心地

高野文子『るきさん』(ちくま文庫)は、マイペースな女と世話好きな女友だちとのつかずはなれずの交流を描く。 ゆるい日常、ゆるい関係。 こじんまりした世界の居心地よさが、読み進むにつれて、じわじわしみこんで来る。

テレビの活かし方

最近のテレビ業界は「コンプライアンス」という言葉に縛られ、できるだけクレームが来ない番組をつくろうとしていないか。……無難で当たり障りのないテーマばかりを追いかければ、テレビはつまらなくなりますよ。(田原総一朗「テレビの時間」―『朝日新聞』4…

都会人の眼

新潟の豪雪地帯、越後妻有。過疎化が進み、決して住みよい場所ではない。だが、志を持って都会から移り住んだ者にとっては、別だ。 質素ながらおいしい郷土料理。個性的で助け合いを怠らない人々……。 ドキュメンタリー『風の波紋』(日本、小林茂)は、都会…

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