2011-08-01から1ヶ月間の記事一覧

評価

過大な称賛と不必要な批判が錯綜し対立するたびに、文化は傷つき、人の気持ちもすさむように思えます。……厄介なことに人間は、千の賛辞の中の一つの罵倒をすごく気にする動物なので、その中で冷静に自分の仕事を自己評価することは至難です。……度を超した評…

信心

上から設計主義的に原発を置き、「安全」と言ってきた結果がこの惨状を招いたのに、同じように水力や風力、あるいは太陽光なら大丈夫だと言って設計主義的に進めていったら、必ず別の形での問題が出てくる。ここにまた「信心」があると思うんです。理性の限…

前衛

「『(となりの)トトロ』も『ナウシカ』も、みんな前衛映画ですよ(笑)。だから、好きですっていう人は随分経ってから現れるんです。10年ぐらい経ってから。でもその時は客が入らない(笑)。すぐ、アニメーションというのはこういうもんだ、この程度のもんだ…

否定と肯定

今わざわざ「人と人の繋がり」を真っ向から否定する主人公を書いていることに気づいたのは台本も半ばを過ぎた頃で、さすがに時代との逆行ぶりに悩みました。でも、私の中からふつふつと湧き上がる、「人に怒られるからこそ」、「人として間違っているからこ…

神の視点

地球全体の歴史から見れば、親子の確執といったレベルの出来事は、ささいなことにすぎない。 『ツリー・オブ・ライフ』(米国、テレンス・マリック)は、神の視点から一家族を見つめる。すべての光景が美しく見えるのも、神の立場ゆえか。

境界線

見る者と見られる者、カメラを向ける者と向けられる者、その断絶をだれよりも意識しながら、なおかつ、あえて断絶を直視しようとする。作品というのはその罪深い行為からしか生まれない。 (川本三郎『クレジットタイトルは最後まで』中公文庫) 境界線を意…

異常事態でも

パニック映画でありながら、『モンスターズ/地球外生命体』(米国、ギャレス・エドワーズ)はドキュメンタリータッチ。 モンスターの登場する場面は極力抑えられ、人間ドラマもささやかなもの。だからこそ、現実味がある。 異常事態に陥っても、人は、朝か…

゙だからこぞの論理

日本は原爆の被爆国だからこそ、原発大国になったという論理もある。 原爆を受けた研究者が平和利用や米国への恨みで原子力に取り組んだり、被爆者が生命のエネルギー源として救いを求めたりといっだだからこぞ論である(『「被爆国が原発」の論理』朝日新…

出来事のあとで

「オール読物」8月号では小説の希望をテーマに五木寛之さんと浅田次郎さんが対談している。興味深いのはここでも時代の風潮に流されずに書くことを強調していること。浅田さんは震災後も「自分の今まで書いてきたものと同じものを書こうと言い聞かせました」…

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