2016-08-01から1ヶ月間の記事一覧

手段のバランス

『シン・ゴジラ』(日本・庵野秀明)は、シリーズ物大作映画のお約束事を踏まえて、制作関係者・観客を満足させつつ、ゴジラという創造物を核にして、日本という国を問い直す。タイムリーな映画だ。 ゴジラ問題と対峙して、解決を図るのは、科学者でもなけれ…

愛らしい妖怪

かわいいと言うべきが、ゲテモノと言うべきか。 CGアニメと実写アクションを共闘させた『モンスター・ハント』(中国、ラマン・ホイ)は、ハンターたちと戦う妖怪たちが、自在に動き、豊かな表情を見せる。 グロテスクだが、愛らしさもある妖怪は、まるで…

大人の功罪

『ココリコ坂から』(日本、宮崎吾朗)での少年少女も、大人の手助けで望みを果たせる。血縁関係が心配された二人の恋は無事に決着するし、文化部の建物も維持できるのだ。 若者が自由を謳歌できるのも、信頼できる大人が配慮してこそという構図が浮き彫りに…

いい人

奥田 政治への無関心は、「いい人」に支えられていると感じます。僕らは、日常の自分も含めて、「無自覚ないい人」と闘っている面もあるのかもしれない。 (「対談:原一男×奥田愛基 さようならSEALDs」『週刊金曜日』19日号) 厄介なのは、首相もメディア…

散歩したい風景

散歩したいと思わせるような風景画を好んだルノワール。 『ルノワール展』(国立新美術館)で展示された「草原の坂道」は、まさにそんな絵だ。

裏で活躍

赤狩りで表舞台から去らざるを得なかった脚本家、ダルトン・トランボ。偽名で大量の脚本をこなすことで、ハリウッドも、赤狩り推進者も、見返す。 『トランボ ハリウッドに最も嫌われた男』(米国、ジェイ・ローチ)は、名物脚本家の実録ドラマ。したたかな…

生きる罪

『いしぶみ』(日本、是枝裕和)は、テレビドキュメンタリーの劇場編集版。 建物解体の作業中、原爆で亡くなった旧制広島二中の生徒たち。生き残った仲間や親族は、生き残ったこと自体に罪意識を持っている。 むろん、罪を負わせるべきものは、生きること以…

生きる時間

『あなた、その川を渡らないで』(韓国、チン・モヨン)は、仲睦まじい老夫婦の生活を延々と写すドキュメンタリー。おそろいの服を着て、川のほとりで仲睦まじく暮らす二人だが、病には勝てず、死の訪れを避けられない。 ただ生き続ける時間の尊さを、夫婦が…

戦中から戦後へ

戦時中、小野寺夫婦は、スウェーデンに駐在。本国の参謀本部に向け、極秘情報を配信した。日本の不利を知り、終戦に向けて路線変更を進言したが、情報は本部でもみ消され、無策のままで敗戦を迎える。 池端俊策:作『百合子さんの絵本 〜陸軍武官・小野寺夫婦…

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