手段のバランス


シン・ゴジラ』(日本・庵野秀明)は、シリーズ物大作映画のお約束事を踏まえて、制作関係者・観客を満足させつつ、ゴジラという創造物を核にして、日本という国を問い直す。タイムリーな映画だ。
 ゴジラ問題と対峙して、解決を図るのは、科学者でもなければ、別の怪獣でもない。政治家であり、官僚であり、自衛隊である。彼らの増長を警戒して、排斥すればいいというわけではない。地震であれ、原発であれ、最終的に頼るのは、諸外国ではない。自国で情報と解決手段を握る者たちなのだ。その力を過度に崇め立てる必要はないが、いたずらに軽視すべきでもない。
 ゴジラはあくまで活動を休止しただけにすぎない。いつか目覚めるときまで、持てるものを最大限活用し、対策を怠ってはならないのだ。

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