戦中から戦後へ

 戦時中、小野寺夫婦は、スウェーデンに駐在。本国の参謀本部に向け、極秘情報を配信した。日本の不利を知り、終戦に向けて路線変更を進言したが、情報は本部でもみ消され、無策のままで敗戦を迎える。
 池端俊策:作『百合子さんの絵本 〜陸軍武官・小野寺夫婦の戦争〜』(NHK)は、夫婦の戦後も描いている。
 関係者のことを明かし、巣鴨プリズンから出所した夫。当時の外交関係者と話し合っても、本当の思いは伝わらない。妻は児童文学の翻訳に精を出し、平和への思いを込める。
 夫婦の苦闘を理解するのは、夫婦だけ。とはいえ、良心を裏切らなかった彼女たちには、まだ笑顔が残されていた。

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