2022-02-01から1ヶ月間の記事一覧

名付けようのない

踊りの場は舞台だけではない。道端で。水の上で。夢の島で。『名付けようのない踊り』(日本、犬童一心)には、指先から頭のてっぺんまで、全身を使って、天地から伝わる声を高速度で聞き分けながら、世界各国で踊り続ける田中泯をカメラが撮り続ける。

シェフの腕前

架空の町にある新聞社で、記者たちが回想するエピソード集。『フレンチ・ディスパッチ ザ・リバティ、カンザス・イヴニング・サン別冊』(米国、ウェス・アンダーソン)が披露するのは、アートであれ、ファッションであれ、料理であれ、どれも荒唐無稽だ。色…

目には見える

『コーダ あいのうた』(米国・フランス・カナダ、シアン・ヘダー)は、聴覚障害者の一家を障害のある俳優が実演する。娘役だけは健聴者だ。家業の漁業を継ぐことなく、歌唱力を活かして音楽学校に進学するのが望みだった。声を聞けない家族に、どうやって能…

釈放の代償

異国の刑務所に収容された娘を冤罪を立証するため、米国人の父親が渡欧。なりふりかまわぬやり方で、真犯人を監禁し、鑑定の材料を手に入れる。 マット・デイモンが演じるとはいえ、『スティルウォーター』(米国、トム・マッカーシー)の父親は、強靭な肉体…

さすがのマッチョ

老いた元ロデオスターが、恩人に頼まれて、メキシコの少年をテキサスまで連れ戻す役を担う。『クライ・マッチョ』(米国、クリント・イーストウッド)は、筋立てや配役はオーソドックスに見えながら、人間関係や価値観など、随所に現代性があり、老人や少年…

どん底のようで

破産寸前での母と、仕事の少ない娘。『エル プラネタ』(米国・スペイン、アマリア・ウルマン)の姉妹のような親子が、窮乏でありながら、盗みやごまかしで金品を集めては、いい服を着て、美味しいものを食べるという見栄えのいい生活を続ける。しゃれたアイ…

恐るべきシリーズ

『スパイダーマン ノー・ウェイ・ホーム』(米国、ジョン・ワッツ)は新旧のスパイダーマンや悪役が時空を超えて、勢ぞろい。悪を倒すのではなく、矯正する。 アベンジャーズの仲間であるドクター・ストレンジの登場。歴代スパイダーマンの共闘。盛りだくさ…

貴重な素顔

『春原さんのうた』(日本、杉田協士)は、コロナ禍を意識して、ほとんどの場面でキャストがマスクをしている。顔を出すのは限られた場面だけだ。食事をするとき。写真を撮るとき。沙知が思い出すパートナーは、ときおり面影を見せる。もはやこの世にいない…

アクセスカウンター