2009-04-01から1ヶ月間の記事一覧

雑文とエネルギー

作家にとって、エッセイをたくさん書くというのは、あまりいいことではないとぼくは思うんです。それだけ抽斗が少なくなっちゃうわけだから。(「村上春樹インタビュー」『モンキービジネス vol.5 対話号』) 雑文に、あまりエネルギーを費やすべきではない。

役者としての登場人物

「Aという人間」のなにかに反応して、これを「書きたい」と思った時、私は「Aという人間」の中に別の人間をはめ込むか、あるいは「別のBという人間」という設定の中に「Aという人間の書きたい部分」をはめ込む。そういうことが「人を描く」だと思ってい…

好書

『やなぎみわ マイ・グランドマザーズ』(東京都写真美術館)には、想像上の老婆の写真が飾られている。 「自らの法眼を手に入れ、好書を読むことがこの世で一番愉快なことである」 これは、被写体の一人であるKWANYIという老婆の言葉。 彼女にとっての好書と…

関係の奥に

ゲイの政治家ミルク。彼を銃撃するライバルのダン・ホワイト。 同性愛者でもあるガス・ヴァン・サントが『ミルク』(米国)で描く二人は、単なる政敵という関係だけではなく、別の感情も、お互いに秘めているかのようにも見える。

キャストとしての政治家

『フロスト×ニクソン』(米国、ロン・ハワード)では、ニクソンがしたたかな政治家というだけでなく、人間的苦悩を見せる。 公開討論で馬脚をあらわし、テレビ司会者のフロストに付け込まれてしまうニクソン。 政治家としては、小物だろう。しかし、すきのあ…

家族愛

愛情を求めるゆえに、暴言を吐いたり、とっぴな行動をするキム。 『レイチェルの結婚』(米国、ジョナサン・デミ)の一家は、キムのせいで、姉レイチェルの結婚式が台無しになりかけるが、キムを心底憎む者は、だれもいまい。 ここには、正直に愛すればこそ…

ヒーローの正体

『ウォッチメン』(米国、ザック・スナイダー)のヒーローたちは、コスチューム姿も、世界観も、すべてグロテスクだ。 これこそがヒーローの実態であり、ヒーローになりたがる人間の本性でもあるのだろう。

弱者の居場所

明確な目標と計画のないままに上京。都会の工場で派遣労働者として働く。そんな青年を批判するのは、たやすい。ドキュメンタリー『遭難フリーター』(日本、岩淵弘樹)には、派遣労働者の青年を、行動力がないと叱責する同級生や、批判力がないと罵倒する中…

アクセスカウンター