2012-06-01から1ヶ月間の記事一覧

プロの世界

パリを代表するナイトクラブのヌード・ダンスといった題材だけで、映画が完成するわけではない。 新作のショーにもスポットを当てつつ、演出家から裏方まで、プロフェッショナルの緊密な仕事ぶりが、一貫してカメラに収められているからこそ、ナレーション抜…

錯覚

木か、金属か。素材は視覚で判断される。 写真の場合、被写体や撮影法をいじくれば、ごまかしが可能だ。 バスルーム、大統領室、原子力制御室……。すべて紙製である。 観客を心地よくだますのが、『トーマス・デマンド展』(東京都現代美術館)の写真だ。 目…

メタファーのアンテナ

まず自分の人生があって、自分に取り込んだメタファーが加わって、栄養たっぷりのミックスが頭の中にできあがる。そういうことをしなかったら、頭の中に何がある? もともとの経験しかないじゃないか。それじゃ足りない。実体験を待ってなんていられないさ。…

世界の終り

『エンド・オブ・ザ・ワールド』(岡崎京子、祥伝社)の表題作は、犯罪カップルの逃避行。 日本人旅行者を殺し、財布とパスポートを奪ったカップルが、ホテルで祝杯を挙げる。 「やったぜソニー!! トヨタさんありがとう!!」 「ホンダさんにも感謝!!」 作品の…

無器用な青年

北朝鮮から韓国に脱北してきた青年。ひどく無器用で、仕事も人付き合いも、ことごとく裏目に出る。 『ムサン日記〜白い犬』(韓国)の青年は、監督パク・ジョンボムが自ら演じている。 ドキュメンタリーのごとく、リアルだ。

前提と内奥

無意識のうちに前提としているものが除かれてしまった時、何が起こるのか。人間の内奥には何が眠っているのか。両者が追求し続けるテーマだろう。(池田雄一「をめぐる交錯 テクノロジーと想像力の狭間に揺れた村上龍と村上春樹」『週刊金曜日』8日号) むろ…

貪欲な凡人

多数の人間を斬り殺した男ならば、もはや平常心ではいられない。自分の身を守るためには、姑息な手段さえ、厭わなくなる。 五反田団の『宮本武蔵』(三鷹市芸術文化センター)は、武蔵を超越した人間として描くのではない。軟弱で卑怯。生きることには貪欲。…

被写体の広がり

写真と映像で構成された『川内倫子展 照度 あめつち 影を見る』(東京都写真美術館)。 被写体は、私的な日常ではない。 山の野焼き・祈る人々・夜空の光……。 地上の出来事へと対象を広げながら、物語を喚起させる柔らかさは失われていない。

強制退去後の町

福島県南相馬市原町区。 津波と放射能汚染で、住民は強制退去に追い込まれた。 予測しえなかった暮らしの急変。 原発で働き、豪邸暮らしの老人も、退去を余儀なくされた。 一瞬にして、命も景観も奪われ、廃墟となった町。住民が戻るのは、特別バスで荷物を…

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