2018-10-01から1ヶ月間の記事一覧

政治家の条件

暗殺されたケネディに比べ、あとを継いだジョンソンは、地味な評価だった。だが、前大統領の遺志を尊重し、公民権法を成立させたのは、したたかなジョンソンの政治力によるものだった。 『LBJ ケネディの意志を継いだ男』(米国、ロブ・ライナー)は、ケネディ…

茶道の楽しみ

一時期だけではない。彼女は、若い頃からずっと通っている。季節に応じて。あるいは年代に応じて。茶道は道具も手順も日々変わる。経験を積めば積むほど、新しい発見がある。あるとき突然気付くこともある。 『日日是好日』(日本、大森立嗣)は、茶道の奥深さ…

頑なな女

バカンスを共に過ごす恋人を探しているくせに、どれだけ家族や友人たちが機会を設けても、頑なな態度を崩さない。『緑の光線』(フランス、エリック・ロメール)の女が言い寄る男を片っ端から拒絶するのは、直感を信じているからだ。どれだけ人に誤解されよう…

風通し

絵画の題材になりそうな美しい田舎町に、建設会館を立てようと奔走する市長。反対する小学校の校長。市長の構想に異議を唱える作家。村人の言葉を聞き取るジャーナリスト。『木と市長と文化会館 または七つの偶然』(フランス、エリック・ロメール)は、彼ら…

多国籍の視点

同性婚をした弁護士二人の公私にわたる日々を映しつつ、彼らが訴訟を手がけるマイノリティーの人々を通して、社会の裏面を見つめる。信念に基づく弁論を披露させながらも、根底にある愛情や生活を形作る繊細さを見失わないようにしている。 ドキュメンタリー…

写真を超えて

一時期、写真に熱中したボナールは、あるときから突然写真をやめてしまう。写真に頼らぬ記憶と想像が、絵の原点だった。

恐るべきカンニング

入試のカンニングが、こんな社会派サスペンスに変わるとは。 『バッド・ジーニアス 危険な天才たち』(タイ、ナタウット・プーンピリヤ)は、中国で起きた事件をタイに置き換え、驚きのストーリーを仕立て上げている。 カンニングのほうが、まともに勉強する…

生きる演出

監督にも取材者にも、迎合しない。堂々と向き合うことで、余計な型を取り払い、もう一つ奥の引き出しを開けさせる。 女優・樹木希林は、生き方の演出家でもあった。

もう戻れない

厳しい寒さの中、獲物を取れなければ、その日の食はない。氷の家で寝て、狩りをして、食べるだけの一日。そりを引く犬たちは、気まぐれだし、子どもたちはあまりに無邪気だ。 『極北のナヌーク』(米国、ロバート・フラハティ)は、消えるべくして消えたイヌ…

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