2011-12-01から1ヶ月間の記事一覧

風土

財布を拾った男が、財布の持ち主の女に、ストーカーのごとく、つきまとい、やがて恋に堕ち、妻も連れて3人で飛行機に乗った際、墜落する。『風にそよぐ草』(フランス・イタリア)は、奇想天外な物語。 個性の強い人間の存在し得る風土が、フランスにはある…

三月の出来事

三月の話と言っても、2003年である。イラク戦争開戦時と言っても、中東の戦地ではなく、渋谷のラブホテルで5日間過ごした男女の話である。 チェルフィッチュの『三月の5日間』(神奈川芸術劇場)は、フリーターの若者が、名前も明かさぬまま、抱き合い、語り…

米国の意地

米政府やスパイ組織から除外され、仲間さえも信じられないチーム。 『ミッション:インポッシブル ゴースト・プロトコル』(米国、ブラッド・バード)では、さすがのイーサン・ハントも、モチベーションを保つのは難しかったろう。それでも任務のために、世…

政策と死者

政府の路線転向で政治犯にされ、収容所で強制労働をさせられた知識人たち。 悪天候と飢餓から死者が続出。死体さえも、むさぼり食う。 1960年の中国ゴビ砂漠を舞台にした『無言歌』(香港・ベルギー・フランス、ワン・ビン)は、まったくのフィクションでは…

生きるための投資

大切なのは、不労所得を得ることではない。投資家的に考える、ということなのだ。…… 「投機家」ではなく、真の意味での「投資家」になることだ。一攫千金を狙うのではなく、自分の時間と労力、そして才能を、何につぎ込めば、そのリターンとしてマネタイズ=…

死生観

死神の訪れを歓迎する人はいない。 ドアを優しく叩こうが、寒くならないように火をたこうが、みんなこわがる。 もし、お迎えをうれしがり、ほほえむ少女がいたら? 『ちいさな死神くん』(キティ・クローザー、ときありえ・訳、講談社)は、死生観を逆転させ…

ロボットと人間

ロボット物のように思わせながら、父子の絆に、ロッキーもどきのサクセス・ストーリーを織り交ぜた『リアル・スティール』(米国、ショーン・レヴィ)。 娯楽映画の定番要素を巧みに配合して、観る者を引き付ける。 ロボットをモチーフにしながらも、謳って…

ドラマとリアリティ

リアリティというのは現実が孕んでいる実際のリアリティとは違った質のものでなければならない。ドラマのリアリティは、もし本当のドラマのリアリティというものが生み出されたならば、そのリアリティの前で現実のリアリティ、ふつうはいかにもこれがリアル…

日本人の世界

青年団の『サンパウロ市民』(吉祥寺シアター)は、同劇団の『ソウル市民』3部作を下敷きにしつつ、舞台を韓国からブラジルに移した作品である。 植民地政策のもと、移民として異国に渡った日本人は、南米でも無意識の差別感情を持ち、戦争の接近にも無自覚…

アクセスカウンター