日本人の世界


 青年団の『サンパウロ市民』(吉祥寺シアター)は、同劇団の『ソウル市民』3部作を下敷きにしつつ、舞台を韓国からブラジルに移した作品である。
 植民地政策のもと、移民として異国に渡った日本人は、南米でも無意識の差別感情を持ち、戦争の接近にも無自覚でいる。
 彼らの意識が現代の日本にもつながっていることは、言うまでもない。
 演出・脚本を担当している平田オリザは、若手演出家の刺激を受けながらも、世界を重層的にとらえつつ、より高度に洗練させて、舞台上に具現化している。

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