根底の問題


 2002年6月。イスタンブールの安宿に貧乏旅行の青年たちがたむろし、合同開催のワールドカップ・サッカーを観戦する。
 日韓合作の青年団『新・冒険王』(吉祥寺シアター)に集うのは、日韓米の青年だが、完全には打ち解けられない。出自をたどれば、民族の対立にだれも無縁でいられないし、力関係の変遷が後世まで持続されているのだ。
 ソン・ギウンと共同で脚本と演出を担当した平田オリザは、いかなる時代、いかなる立場を舞台に設定しても、根底の問題を見失わないだけの円熟味を兼ね備えている。 

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