2019-05-01から1ヶ月間の記事一覧
労働者階級出身のアレキサンダー・マックイーンは、身近の安い素材で斬新なファッションを量産。対極とも言えるジバンシィでも活躍した。 『マックイーン モードの反逆児』(英国、イアン・ボノート)40歳の人生をファッション制作で駆け抜けた才人の生涯を…
死刑執行前夜に新聞社の編集長が、冤罪立証の取材と元妻の結婚解消をまんまと成功させる。『ヒズ・ガール・フライデー』(米国、ハワード・ホークス)は、凝った設定の濃密な喜劇。脚本・演出・演技が三位一体となり、映画が映画であることの楽しさを満喫さ…
生き残るために変化してきた哺乳類たちの驚くべき身体機能。『大哺乳類展2』(国立科学博物館)は、同類にのみ、目が行きがちの人間たちに、多様さと適応能力の必要性を再認識させる。
ギャングの情婦と堅物の百科事典編纂者とのてんやわんや。空中分解しかねないごたごたした材料を快作にまとめた『教授と美女』(米国、ハワード・ホークス)は、米国娯楽映画の底力を裏打ちさせるものである。
仕事人間だった男が、疎遠だった妻に寄り添い、娘たちにも礼を尽くす。『運び屋』(米国、クリント・イーストウッド)は、老境による変化を、哀愁でも悲観でもなく、高潔な決断の好機として、とらえている。 壮年期でも老年期でも、イーストウッドの世界の主…
クライマックスでのヒーロー総登場と、メインキャストの死。『アベンジャーズ エンドゲーム』(米国、アンソニー・ルッソ、ジョー・ルッソ)は、SF娯楽アクションとして、観る者を大いに興奮させた。作品の完成度、テーマ性云々よりも、様々な事情に目配りつ…
『折りたたみ北京 現代中国SFアンソロジー』(早川書房)で現代の中国SFを英訳し、編集したケン=リュウは、中国作家の問題意識は自国のことにとどまっているわけではないと、主張する。 「中国の作家たちは、地球について、たんに中国だけではなく人類全体に…
渡辺源四郎商店の再演作『背中から四十分』(ザ・スズナリ)は、近松門左衛門を意識した心中物である。ホテルで一夜を過ごす投げやりの男と、挙動不審の女マッサージ師。交わされる会話によって、お互いの重い事情が明らかになる。 共に死んでもおかしくない…
原発事故をきっかけに浮き出た家族の崩壊、地域の疎外、職業の喪失……。『福島は語る』(日本、土井敏邦)は、災害そのものとは別の不合理を見せつける。自助努力だけではままならない運命の非情さ。安全圏にいられるのは、偶然にすぎない。